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大の練習嫌いな“ジャイアン”からNo.1の自主練量 川崎の新人王候補・増田啓介が変貌したワケ
posted2020/11/16 17:00
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph by
B.LEAGUE
今季のBリーグはルーキーがいい。
テーブス海(宇都宮ブレックス)、松脇圭志(富山グラウジーズ)ら昨季の特別指定選手組は、この期間を有効に使い、開幕直後からしっかりとチームにフィットしている。
U19日本代表、アメリカからの逆輸入選手ということで前評判の高かったアイザイア・マーフィー(広島ドラゴンフライズ)も、スケールの大きさを感じさせるプレーでファンを楽しませている。
シーズン序盤から熾烈な争いを繰り広げる、今季の新人王候補たち。その1人に、ようやく、満を持して、彼の名前が並びそうだ。
川崎ブレイブサンダースの増田啓介。この春に筑波大を卒業したフォワードだ。
逆転シュートを決めてみせた
11月11日の千葉ジェッツ戦で、3ポイントシュート4本を含む23得点。10月24日に戦線離脱したマティアス・カルファニに続き、11月8日の琉球戦で負傷したジョーダン・ヒースまでをも欠く状況で迎えたこの試合は、展開によっては一方的な試合になってもおかしくなかった。
しかし、「ダウンさせたら殴りまくれ」がポリシーだという千葉・大野篤史ヘッドコーチの無慈悲なビッグラインナップ(帰化選手を含む海外出身選手が同時に3人コートインすること)にサイズで劣る日本人選手で対抗し、第3クォーター序盤についていた10点ビハインドを追い上げ、タイムアップまで残り2分12秒で千葉をかわした。
そして増田は、序盤の重苦しい空気を自らの3ポイントシュートで盛りたて、相手の外国籍選手たちを臆することなく守り、逆転シュートを決めてみせた。
試合後、川崎の佐藤賢次HCは「スカウティングの内容をもとにチーム全員でいいパスを回せて、結果的に辻(直人)と増田がシュートを決めてくれた」とコメントしたが、増田の攻守にわたる活躍なくして、この価値ある一勝は存在しなかっただろう。