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史上初の「秋のマスターズ」勝つのはパワーか、熟練の技か? 聖地オーガスタから届いた1通のメール 

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舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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posted2020/11/12 11:01

史上初の「秋のマスターズ」勝つのはパワーか、熟練の技か? 聖地オーガスタから届いた1通のメール<Number Web> photograph by Getty Images

オーガスタ攻略へ自信をのぞかせたタイガーウッズ。史上初の「秋のマスターズ」は誰が制するのか

パワーゴルフへの静かなる反論

 圧巻は、昔を振り返ったウッズのこんな言葉だった。

「僕がマスターズに出始めた90年代後半、僕はドライバーとウエッジで楽々勝利した。でも、あの改修後、オーガスタはタフなコースに変わり、どこへ打ったらいいか、どこへ打ったらいけないかを知り尽くさなければ勝てなくなった。だからマスターズ・チャンピオンの多くは、キャリアの終盤にグリーン・ジャケットを羽織った。僕も、その1人になりたい」

 経験も知識も熟練の技も必要。それがマスターズ・チャンピオンに求められる資質。その意味では、アマチュア時代を含め、今年で9度目のマスターズを迎える松山英樹にも大いにチャンスはある。前週のヒューストン・オープン最終日に猛追をかけ、2位タイと昇り調子だが、その勢いより、むしろ彼の寡黙で堅実なプレーぶりは、今のデシャンボーの対極と言える。

 そして、すでにグリーン・ジャケットを5度も羽織ったディフェンディング・チャンピオンのウッズが、もう一度、オーガスタ・ナショナルで勝利することを祈るように求めているのだと謙虚に語ったことは、マスターズ制覇が一朝一夕の極端な手法では達成できないことを暗示している。

 すべては、ゴルフをパワーで支配しようとすることへの静かなる反論だ。

 果たして、今年のマスターズを制するのはパワーヒッターか、それとも熟練選手か。史上初の「秋のマスターズ」は、ゴルフ界の未来の方向性を占う岐路の大会になりそうだ。

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