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中央大学のスポーツビジネス講座でなんとサッカークラブを運営! 鍵は「ヒンディー語と小松菜」!?
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byChuo University
posted2020/11/11 17:00
2016年、浅草サンバカーニバルでの1枚。『GIANT KILLING』に登場するETUのマスコット「パッカ君」の着ぐるみを借りた
職業とサッカーの両立を目にして
職業を持ちながらサッカーの夢を見続けるのは、現実を知らない甘い戯言なのだろうか。いや、決してそうではないはずだ。
自分の努力次第で可能性は広がっていく。つらいことから逃げず、新しいことに挑戦する勇気。二兎を追うものは一兎をも得ずと言われるが、どちらにも全力で立ち向かっている人たちはいる。
学生の中には、そうした生き方に触れたことでポジティブな変化を感じている人もいる。村澤さんは「私は、これまで2つのことを同時に狙ったりはしてきませんでした。でも、そうではない考え方、生き方、やり方もあるんだということを知って、自分でもそうした機会があったらチャレンジしたいなと思うようになりました」と明かしてくれた。
「今の若い子は、失敗の経験が意外とない」
講座を通じて、自分から主体的にチャレンジして様々な体験をする。学生たちにとってそれこそがいちばん大事なことだと渡辺教授は強調していた。
「一言で言いますと、僕はみんなに失敗をしてほしいと思っています。こうすればうまくいくというアドバイスはしない。わかっていても目を瞑ってやらせる。だからクラブにはその辺りをご理解いただきたいと、いつも伝えています。
今の若い子は、失敗の経験が意外とないんですよね。『挫折経験あります?』と学生に聞くと、『ない』と答える子が多いんですよ。でも、失敗を知らない子がそのまま社会に出るのは怖いと思っています。失敗ほど貴重な財産はないですから」
この講座における失敗というのは、リアルな失敗だ。そんな生きた経験ができる環境の大切さを、学生たちもしっかりと感じている。
どうすればいいかわからないこともあるだろう。それでも、そこであがき続けることで見えてくるものがある。がむしゃらにつかみ取った可能性の光はきっと、将来に向けての大事な基盤となるはずだ。
(後編に続く。NumberWeb以外のサイトでお読みの方は関連記事『「最近の若い子は…」ってホント? サッカークラブ運営で中央大学教授が見た学生の本質と課題』からご覧ください)