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坂本花織と三原舞依、理想の競争関係 復活したライバルに「負けたくない気持ちがまた芽生えてきた」
posted2020/11/09 11:01
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Nobuaki Tanaka
艶やかな輝きを放ちはじめた三原舞依と、ライバルの復活に刺激される坂本花織。小学生時代からのチームメイトで“お互いが居たから”ここまで来た2人は、第二章ともいえるドラマを再び歩み出した。
全日本選手権の最終予選となる西日本選手権(10月30日~11月1日)が京都アクアリーナで行われ、坂本はショート首位からの逃げ切りで優勝、三原はフリーで首位に立つ快挙を見せての総合2位となった。それは、三原の復活と同時に、坂本の再燃へと繋がる一戦だった。
何と言ってもこの西日本選手権での驚きは、三原の躍進ぶりだ。昨季は体調不良で1年休養し、コロナ禍もあり、本格的な練習復帰は今年6月以降。7月の合宿公開の時は「3回転ループまで(の3種類)はだいぶ戻ってきた」と控えめに話していた。滑る姿もまだ筋力が足りず、ジャンプも軽やかというよりは、力を使えていない印象だった。
アスリートとしての強い覚悟をもって復帰した
初戦となる10月の近畿選手権では、はやくも難度の高い3回転ルッツや3回転フリップに挑戦。「『ただいま』という気持ち。久しぶりの試合に、まず氷に乗れて嬉しいなと思いました」と三原。演技後は中野園子コーチに支えてもらうほど体力を使い切っていたが、まずは滑る喜びを取り戻したことが、何よりの第一歩だった。
その後、10月のオール兵庫では、違った一面を見せた。そこでは3回転ルッツ+3回転トウループも加え、トップ選手と同格のジャンプ構成に戻してきたのだ。むしろショートだけでいえば、3回転ルッツを回避している坂本よりも得点の高いジャンプ構成にしていた。可憐で華奢な三原からは想像も出来ないほど、アスリートとしての強い覚悟をもって復帰したことが伝わってきた。
「練習を再開してから、毎日が最大限で過ごしてきました」と語っていたように、単に試合に復帰しただけでなく、限界へ挑むファイターとして氷上に戻ってきたのだ。