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佐藤駿vs鍵山優真vs“お兄さん世代”、フィギュア北京五輪切符を見据えた戦いが始まった
posted2020/11/11 11:05
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph by
Sunao Noto, Nobuaki Tanaka
北京五輪切符をかけた日本男子の争いは、今季初の直接対決を前に早くもヒートアップしている。全日本選手権の最終予選となる西日本選手権(10月30-11月1日)と東日本選手権(11月6-8日)がそれぞれ行われ、鍵山優真(17)、佐藤駿(16)、そして友野一希(22)、山本草太(20)らが、お互いを意識した熱戦を繰り広げた。
“まだプレ五輪シーズン”などと言ってはいられない。この4人にとっては、五輪出場枠が最大の3枠あったとしても、羽生結弦、宇野昌磨が出場することを考えると、残りは1枠。リハビリ中の田中刑事も含めると、5人でたった1枚の切符を争うバトルなのだ。今季初の直接対決となるNHK杯(11月)と全日本選手権(12月)の前哨戦となる西日本と東日本は、それぞれの成長段階と手の内を探るチャンスだった。
“お兄さん対決”となった西日本選手権
まず先に行われた西日本は“お兄さん対決”だった。友野は世界選手権5位の実績もあり、続々と伸びてくる若手を迎え撃つ立場にある。
「佐藤君や鍵山君の2人とは合宿などで一緒に練習する機会があり、観ていてもすごく勉強になります。日本を盛り上げていってくれているし、負けられません」と気合い十分。山本や田中との対決となった西日本でも、むしろ鍵山や佐藤を意識しているようだった。
ショートは「4回転トウループ+3回転トウループ」を成功。4回転サルコウは転倒したが、もともとはサルコウは得意であり、不安はない様子。「全体的には良かった」と手応えをつかむと、83.62点で首位発進となった。
ところが翌日のフリーは、「今までフリーで追い上げるケースが多くて、ショート1位という数字に自分が慣れていませんでした」という。演技前半に固めて成功を狙った4回転は3本ともミスし、そのうち4回転サルコウは2本とも2回転となる痛恨のミスで、大きく点を失った。
「技術的な仕上がりもよかったのに、最後の最後、本番で気持ちのコントロールを出来ませんでした」
演技構成点は1位となり、持ち味も存分にアピールすると、総合212.92点での2位に。ジャンプのミスが多かったぶん、まだまだ点は伸ばせるといった様子。「NHK杯では、鍵山、佐藤の2人に勝ちたいという気持ちがすごく強いです。全日本選手権も含めて、勝てる演技をしたいです」と誓った。