坂本は好調なシーズンインを迎えていたが……

　一方の坂本は、近畿選手権、オール兵庫と連覇を飾り、シーズン初戦からノーミスに近い演技で、好調なシーズンインを迎えていた。

　もちろん、この西日本選手権も優勝の筆頭候補だ。ところがこのショートでは、3回転ループで耐えるような着氷になり、ステップではトウがひっかかってバランスを崩す場面もあった。終わった瞬間、苦笑いが漏れる。

「ステップでフリーレッグを意識しようと思ったらしっかり伸ばし過ぎちゃって、トウがゾゾゾと氷に引っかかって一時停止みたいになっちゃいました。中野コーチからは『ステップどうしたんですか』と言われちゃって『もう自分、何してんの』という感じです。あと（本番直前に）名前呼ばれるまでの間にダブルアクセルと3回転フリップをやって、コーチから『ループはやらなくていいの？』と聞かれて『大丈夫です』といったのに、耐えたみたいな着氷になってしまって……。『ループは大丈夫じゃないんですか』と、ことごとく指摘されました」

「1つ前の試合の自分に勝つ」という目標

　得点は70.40点での首位発進だが、近畿選手権で74.88点、オール兵庫で76.10点だったことから考えると、ベストの演技ではない。3回転ループやステップで大きな加点を得られなかったことが影響した。

坂本花織　ショートプログラム　(C)Nobuaki Tanaka

「気持ち的に焦っていた所があったかなと思います。そんなに難しい技も入ってないし、今自分が出来るジャンプしか入っていないのに、GOE（出来映え）で稼げなかったのが悔しかったです」

　今季は「1つ前の試合の自分に勝つ」という目標を掲げている坂本は、フリーでのリベンジを誓う。

「ショートは、近畿やオール兵庫に比べてだいぶ点数が落ちてしまったので、明日のフリーは思い切って、勢いのある『マトリックス』をやりたいです。何とかして、前の自分を超えないとな、と思っています」

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