“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
ドラフト1位高橋宏斗の後継者右腕も! 秋の中京大中京の“大人びた”完成度、特筆すべき走塁の数字
posted2020/11/06 17:03
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
PABB-lab
三重県で行われた高校野球秋季東海大会1、2回戦、4試合を観て、中京大中京高の走りに注目した。
筆者が俊足の目安にするのは打者走者の「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」というタイム。新旧のチームが入れ替わる秋、ほとんどのチームはこのタイムが遅くなる。見てきた中では1試合で3人が基準タイムをクリアすれば上々の走りと言える。
東海大会では海星高=0人、松阪商高、東邦高、県岐阜商高=1人(1回)、岐阜第一高、至学館高校=2人(2回)と基準値に達しないチームが多かった。大垣商高の3人(4回)はよく頑張ったと評価していい。そんな中、中京大中京高は6イニングという限られた戦いの中(7回コールド勝ち)で4人(5回)がこのタイムをクリアした。
1番・細江泰斗(2年・遊撃手)……<2>バント4.27秒
2番・杉浦泰文(2年・左翼手)……<1>バント3.96秒、<3>バント安打3.75秒
7番・上野晃碁(1年・右翼手)……<3>投手ゴロ4.25秒
9番・満田悠生(2年・二塁手)……<1>バント安打4.06秒
※以下の<>内の数字は打席数
1、2年生の出番が限られたコロナ禍
今年は新型コロナウイルスの影響で春、夏の甲子園大会だけでなく地区大会も開催されず、3年生は逆風をもろに受けた。数少ない試合で3年生を優先する学校が多かったのは、彼らに少しでも試合をしたという実感をもって卒業してもらいたかったからだろう。しかし、そのことが力のある1、2年の出場を制限する事態も招いた。
あれこれ考え、もう一度中京大中京高が達成した各塁到達タイムや好球必打を見ていくと、どうしてこんな大人びた完成度の高いチームがこの逆風の中で出来上がったのか不思議でならない。