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大久保嘉人にドヤされてもめげない18歳 藤田譲瑠チマはヴェルディ産の要注目銘柄
 

text by

海江田哲朗

海江田哲朗Tetsuro Kaieda

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photograph byJ.LEAGUE

posted2020/11/01 06:00

大久保嘉人にドヤされてもめげない18歳 藤田譲瑠チマはヴェルディ産の要注目銘柄<Number Web> photograph by J.LEAGUE

世代別代表でも好プレーを見せている藤田譲瑠チマ。ヴェルディでいま一番見ておきたい選手だ

「成長のスピードがずば抜けている」

 藤田のJリーグデビューは、2019年9月14日のJ2第32節アルビレックス新潟戦だった。このシーズンは2種登録で4試合に出場し、初先発となった最終節のFC岐阜戦では中盤のフィルター役としてボールを奪いまくり、強烈なインパクトを残している。

 ユース時代から藤田を指導する永井秀樹監督はこう語る。

「とにかく、成長のスピードがずば抜けている。高2まではBチームで、全然試合に出られない時期から誰よりも真剣に話を聞いて戦術を理解しようと努めていました。頭と身体が一致し、思い描くイメージをプレーで表現できるようになった」

 卓越した成長力。結局、これがトップ昇格の決め手であり、藤田の真骨頂と言える。

へなちょこの縦パスで大久保に怒られたが

 また、踏まれて強くなる麦のようなメンタルの持ち主だ。

 私が初めてそのプレーを目の当たりにしたのは、昨年3月にあった順天堂大とのトレーニングマッチだった。後半、最終ラインで起用された藤田は目を疑うような凡ミスから失点し、それを契機に東京Vは1-5で惨敗。あからさまにしょんぼりし、最後まで立て直せなかった。

 スターティングメンバーに名を連ねた今季の開幕、徳島ヴォルティス戦では、へなちょこの縦パスを入れて大久保嘉人にどやしつけられた。「どんなボールでも止めてやるから、シュートを打つつもりで入れろ。スペースを空けたらダッシュで入ってこい」と激しい怒気にさらされ、何も言い返せなかった。

 ところが、いまではどうだ。

 大久保が止め損なうような強い縦パスを通すようになった。ドリブルでボールを運び、チャンスメイク。クロスからのアシスト。チームが劣勢にあっても下を向くことはない。それに伴い、トラップと同時にきゅっとアングルを変えるプレー、相手の逆を取るターンといった小技も効果を上げている。

【次ページ】 「すべての選手の中ですごいと言われたい」

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