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<私が裁いた名勝負>残り1分半、同点シュート場面でのコール。 

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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posted2020/10/31 08:00

<私が裁いた名勝負>残り1分半、同点シュート場面でのコール。<Number Web>

宇田川貴生さん

語り継がれる名勝負をその演者のひとり、審判が振り返る。彼しか知らない新たな景色が見えてくる。

2016年 Bリーグ 開幕戦
アルバルク東京 80対75 琉球ゴールデンキングス
9月22日/代々木第一体育館

他の開幕カードに先駆け、前年NBL1位のA東京とbjリーグ優勝の琉球が激突。第1Qで先行したA東京が前半を終えて7点リードし、第3Qでさらに突き放す。趨勢は決まったかに見えたが最終Qで琉球が猛攻。終盤3点差に迫るも、残り29秒で同点の3Pシュートが外れ決着がついた。

   ◇

 まっすぐに。まっすぐに。

 Bリーグ開幕を目前に控えて、私は鳥取の体育館でひたすらボールを真上に投げる練習を繰り返していました。

 バスケットボールは、審判がトスアップするティップオフで試合が始まるスポーツです。審判が投げたボールが曲がったりすると、みっともないですし、選手たちの信頼も損ねます。ルール上、やり直しはできるのですが、Bリーグ開幕という歴史的一戦のスタートで、失敗をするわけにはいかない。当時、私は鳥取で体育教師を務めていましたから、地元で何度も何度も練習して、代々木第一体育館に向かいました。

 この日を迎えるにあたって、心の中には“2人の自分”がいました。1人は、バスケットボール人としての自分。新リーグ開幕によって盛り上がった機運が続くように、開幕戦が良い試合になってほしい。お客さんにバスケの魅力が伝わる面白い試合になってほしいと願っていました。実際にコートに入って、LEDによる演出や、満員のスタンドがアルバルク東京の赤、琉球ゴールデンキングスの白に綺麗に分かれている光景を見て、これがバスケ界にとって本当の第一歩なんだと実感しました。

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