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コントレイルの危機に、福永祐一「マズいな…」 客席も悲鳴の菊花賞を制した底知れぬ力
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2020/10/26 11:30
菊花賞を制し、無敗三冠を成し遂げた福永祐一騎乗のコントレイル(奥)。ルメール騎乗のアリストテレスと接戦を繰り広げた
ルメールに感じた恐ろしさ
馬を信じて力を引き出した福永も見事だったが、3分5秒5の走破タイムのうち2分50秒ほどの間、ずっと厳しいマークをつづけたアリストテレスのルメールの恐ろしさも感じさせられた。ディープが3歳時の有馬記念で初めて敗北を喫したとき、勝ったハーツクライに乗っていたのもルメールだった。
騎手というのは、強い相手とともにレースに出ると、白旗を揚げるのではなく何としても負かそうとする。あれだけ厳しくコントレイルの力を封じようとしながら勝利を狙ったルメールは、ゴール後福永をハイタッチで祝福した。あのシビアさが騎手たちのスポーツマンシップなのだ。
なお、アリストテレスは6分の4の抽選を突破した馬の1頭だった。抽選を突破した馬が好走するケースはなぜか多い。
菊花賞の先、父を超えた存在へ
これでコントレイルは7戦7勝。うちGIは4勝。3歳の時点で父のGI勝利数を上回ったが、偉大な父を超えたとは陣営の誰ひとり思っていないだろう。
この馬なら、日本の競馬界の悲願である凱旋門賞制覇をなし遂げられるかもしれない。そうなれば間違いなく、父を超えた存在として競馬史に名を残す。
次走に関して、前田幸治ノースヒルズ代表は明言しなかった。当初、疲れがなければ向かうとしていたジャパンカップになるかどうかは近日中に発表されると思われる。
日本の競馬界に新たな至宝が生まれた。その煌きは、さらに増していくに違いない。