沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER

コントレイル、菊花賞での無敗三冠達成は当確? 武豊が語っていた“父”ディープインパクトへの不安 

text by

島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

PROFILE

photograph byKyodo News

posted2020/10/24 17:02

コントレイル、菊花賞での無敗三冠達成は当確? 武豊が語っていた“父”ディープインパクトへの不安<Number Web> photograph by Kyodo News

無敗での3冠達成へ調整するコントレイル。父が成し遂げた偉業を再現できるか

体重が増えないコントレイルは成長に乏しい?

 端的に、と書いたのに、長くなってしまった。それくらい、いいところだらけなのだ。

 菊花賞に向けても、死角や不安点を探そうとすると、結局はこの馬で決まり、という結論に達してしまう。

 そのひとつが馬体重だ。アメリカのように短期間に集中的に三冠レースがある形とは違い、日本の三冠は、春の二冠と秋の三冠目との間隔が大きくあいている。春秋ともに好調で臨むのは難しいし、夏を越しての成長も求められる。ゆえに三冠馬は出現しづらいわけだが、だからこそ三冠制覇の栄誉は、長く讃えられる。

 コントレイルは皐月賞を462kg、ダービーを460kgで走り、4カ月ぶりの神戸新聞杯でもダービーと同じ460kgだった。菊花賞にも同じくらいの体重で出てくるだろう。

 先週無敗の牝馬三冠馬となったデアリングタクトや、2018年の牝馬三冠馬アーモンドアイは、プラス14kgで秋初戦の秋華賞を制している。成長が数字に表れていた。

 それに対してコントレイルは成長に乏しいように思われるが、あくまで数字上の問題に過ぎない。父ディープインパクトは新馬戦の馬体重がもっとも重く、4歳時、ラストランから2戦目のジャパンカップが一番軽かった。にもかかわらず、キャリアを重ねるごとに強くなり、「ぶつかり合いのある牡馬は馬格があったほうがいい」という「競馬の常識」をぶち壊した。

 ディープの三冠での馬体重は、444kg、448kg、444kg。史上初の無敗の三冠馬となったシンボリルドルフのそれは、470kg、476kg、474kg。2頭の無敗の三冠馬は、三冠すべてをほぼ同じ体重で走っていたのだ。

 トレーニングと実戦を重ねるほど贅肉が取れてバランスが整い、外観には表れない中身が充実していく。「名馬は自分で体をつくる」と言われる所以である。

ベストの距離ではないけれど

 これがベストの距離ではないことは、陣営も認めている。しかし、どんな展開になっても折り合うので、力を出し切れずに終わることはないだろう。

 ディープの新馬戦前の追い切りで初めて跨ったとき、武豊は「スピードがありすぎるので、短距離馬にならないよう気をつけなければならない」と感じたという。そのディープは掛かりながらも菊花賞を圧勝し、翌春の天皇賞で3200mの世界レコードを叩き出した。

 よほどひどいアクシデントでもない限り、史上3頭目の無敗の三冠馬が誕生するような気がする。

【次ページ】 2着候補は…印をつけるとこうなる

BACK 1 2 3 NEXT
コントレイル
ディープインパクト
武豊

競馬の前後の記事

ページトップ