自分はプロレスが好きなんだとあらためて

　そしてこれからはプロレス一本、スターダム一本の新たなキャリアが始まる。考えに考え抜いての選択だった。コロナ禍の中で、考えざるを得なかったと言ってもいい。9月に最愛の母を亡くしたことも大きかった。自分が一番やりたいのは何か。一番やりがいのある舞台はどこか。大きく言えば、これからどう生きていくか。

　自分の体調は万全でも、予期せぬ事態で試合ができなくなることがある。自分が輝く場所を奪われることがある。それを思い知らされて「プロレスラーは全員、悩んだし考えたと思います」。その上で朱里が出した答えがスターダム入りだった。

「格闘技の試合から離れて、今はプロレス一本。さらにプロレスのことを考えるようになりました。自分はプロレスが好きなんだとあらためて思ったし、まだ未知数というか成長すること、学ぶことがいっぱいありますね」

(C)Norihiro Hashimoto

　ブシロードグループ入りによって、スターダムが女子プロレス界で“独走”する可能性が出てきた。今回の朱里の選択によって、その可能性がさらに高まったのは間違いない。そして団体が大きくなる中で、朱里もまた成長していく。その存在感が薄れることは、これからもないだろう。