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「ナオミは気取らないセレブで最高のお手本」 シフィオンテク優勝と仲良し大坂の“イイ話”
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2020/10/14 11:00
全仏初優勝に、体を目いっぱい使って喜びをあらわにしたシフィオンテク。大坂なおみに続くスター誕生の予感がする
「ナオミが見せてくれたの!」
昨年は女王としての安定感に欠けていた大坂だが、この夏、シュビオンテクは「最高のお手本」を見た。全米オープンでの大坂について、パリでこう話している。
「それまでの大会を見ていて、彼女はもうちょっとできるはずだって思ってた。でもニューヨークでは、ナオミのテニスが最高のレベルに戻ってきたように感じたわ。私も刺激をもらった。ときどき、自分はもっとできるのにってわかってるときがあるから。ちゃんと練習して、一生懸命取り組めば、結果はついてくるってお手本をナオミが見せてくれたのよ」
大坂を軸にした若い世代に移行するのか
大坂にとっても、与えるばかりではない。「自分より年下ががんばっているのを見るのが好きなの。彼女たちができていることは私にもできるはずというモチベーションになる」と言う大坂は、他に類を見ないプレースタイルを持つシュビオンテクとの練習からも何かを得ていたはずだ。
女子テニス界の波はいよいよ本格的に、大坂を軸にしたこの若い世代へ移っていくのだろうか。全米オープンでは31歳のビクトリア・アザレンカをはじめとしたママさんプレーヤーの活躍が話題になったばかりだが、優勝者の顔ぶれを見れば明らかに世代交代を示している。
遡れば、2017年の全仏オープンで当時20歳のエレナ・オスタペンコがノーシードからの優勝を果たし、大坂は同年代の活躍に大いに燃えた。それが翌年のブレークにつながり、全米オープンの初優勝から女子テニスの世代交代は一気に進むのだ。
翌年の全豪オープンを再び大坂が制し、全仏オープンは当時23歳のアシュリー・バーティが初優勝、ウィンブルドンのシモナ・ハレプは新顔ではなかったが、全米オープンは19歳のビアンカ・アンドレスク、今年は21歳のソフィア・ケニンの全豪オープン優勝で幕を開けた。例年とは開催順が前後するが、全米で大坂が復活優勝し、この全仏での19歳シュビオンテクの優勝である。