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樋口新葉の3アクセル「応援のおかげ」 有観客のジャパンオープン、拍手に背中を押されて
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph bySunao Noto
posted2020/10/11 11:02
演技を終え観客の声援に手をふって応える山本草太。山本や樋口らのチームブルーが勝利して大会を終えた
15歳の吉田陽菜はトリプルアクセルに挑戦
後半は女子6人による演技。トップバッターは、ジュニアの浦松千聖。前の週の中部選手権ジュニア女子で2位になった18歳だ。なめらかな滑りが印象的な演技を見せると、
「久しぶりの観客を入れた試合で、応援も楽しい感じでした。少しミスはありましたが最後まで演技できてホッとしました」
と話した。
2番手に登場した15歳の吉田陽菜は、トリプルアクセルに挑戦。転倒したものの、大きな拍手に背中を押されるように立ち上がり、直後の3回転ルッツ+3回転トウループを降りるなど、勢いある演技を見せた。
「今季は観客のみなさんに生で見て頂けることが少ないので、それを経験できて良かったです。これからも、トリプルアクセルを失敗しても後に影響がでないようしっかり練習していきます」という。
山下真瑚はほぼパーフェクトの演技
また本田真凜の欠場により、急きょ出場が決まったのは山下真瑚。ほぼパーフェクトの演技で、力を発揮した。
「靴が軟らかくなっていたので、(補強の)テープをぐるぐる巻きにして、靴が頑張ってくれた演技でした。楽しく演技できて良かったです」
そして4番手に横井ゆは菜が登場すると、演技が始まったとたんに手拍子が起きた。曲は『トムとジェリー』で、猫のトムとネズミのジェリーが追いかけっこをしている様子が描かれる。2人の叫び声やムチの音なども挿入され、まるでエキシビションのようなプログラムだ。前の週の中部選手権で披露しており、その様子はオンデマンドで配信されていたため、ファンも「この曲は最初から盛り上がる」というのを分かっていたのだろう。
「最初から手拍子をいただけると思わなくて嬉しかったです。無観客だと手拍子は無いですから、すごく楽しんで滑れました。リンクの氷もとても、ジャンプが浮きやすくて跳びやすくて、練習で跳ぶたびにテンションが上がる氷でした。こんな大きな会場ですべった機会がなかったので、こういう試合にもっと出られるようにたくさん練習していきたいと思いました」
横井はそう語り、満面の笑みを見せた。