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「僕がサッカー以外に手を出すのは…」ブンデス最年長・長谷部誠36歳が語った“ある決断” 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2020/10/17 20:00

「僕がサッカー以外に手を出すのは…」ブンデス最年長・長谷部誠36歳が語った“ある決断”<Number Web> photograph by Getty Images

今年36歳の長谷部はブンデスリーガ最年長選手として、開幕戦からスタメン出場を飾っている

別の事業を行う現役選手は多いけど……

 今年36歳の長谷部は、ブンデスリーガ最年長選手として、開幕戦からスタメン出場を飾っている。ドイツへ渡り14シーズン目を迎えて、昨季にはブンデスリーガにおけるアジア人で史上最多出場記録を更新した長谷部だが、そのキャリアがずっと順調だったわけではない。本職のボランチではないポジションでのプレー時期も長く、負傷との戦いもあった。

「今、サッカー以外のことに強く興味を持つと、そっちに気持ちを持っていかれそうでイヤなんだよね」

 長谷部がそんな話をしたのは、2016年2月のことだった。サッカー選手としての仕事以外に、別の事業を行う現役選手は多い。そういうことに興味を持つことは、一社会人としても重要なことかもしれない。長谷部はきっとそういう生き方を選んでいるんだろうなと思っていた。けれど、長谷部は否定したのだ。

 インタビュー前のハンブルガーSV戦では、左サイドバックで出場している。スコアレスドローで終わったその試合を見ながら、当時のフランクフルトは、長谷部本来の力を発揮できる環境ではないだろうし、それを認めてくれる場所でもないように感じた。まさに長谷部は、不遇といえる状況になっているのだと実感した。

 今、サッカー以外のことに気持ちを向けると、サッカー選手として自身が立たされた現状から「逃げる」ような想いがあったのかもしれない。まさに「サッカーにしがみつく」ことを彼は選んだ。そして、その試合から数週間後、フランクフルトの監督ニコ・コバチが就任する。入れ替え戦を勝ち抜き、1部残留も達成。その中心にはボランチでプレーする長谷部がいた。翌シーズンにはリベロにコンバートされる試合も多く、「リベロという新しい場所を与えてもらえた」と語る長谷部は、ドイツ国内でもサッカー選手として、再評価され、現在に至る。

サッカー以外のことをやる“器用さ”があるのか?

 そして、最年長選手としてのシーズンが始まる直前の今年8月下旬のインタビューで、サッカーという仕事とその他の仕事について、長谷部は、持論としてを語り始めた。

【次ページ】 長谷部が考える「社会貢献とは」

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