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武豊、欧州の名伯楽から招かれるスゴさ 唯一無二の偉大なジョッキーが挑む9度目の凱旋門賞
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2020/10/02 20:01
昨年の凱旋門賞で武が騎乗したソフトライト(6着)
日本人を下に見る傾向にあって武豊は…
ニューマーケットで4年間修行し、ヨーロッパの競馬にも精通している藤沢和雄調教師は、以前この時の事を次のように語っていた。
「ヨーロッパのホースマンには競馬発祥の地としての意地やプライドがあって、日本人というだけで少し下に見る傾向があるのは事実。そんな中、向こうの調教師に『来てくれ』と言われた武豊君は“すごい”の一語。そんな日本人ジョッキーは他にいない」
J・ハモンド調教師はフランスで開業していたものの、それこそ競馬誕生の地であるイギリスで生まれ育った人物だった。武豊騎手の偉大さが分かろうというものだ。
コロナ禍に沈む現在の競馬界に朗報を
さて、そんな武豊騎手が今年、この欧州最大の1番でその鞍上を任されたのはジャパン(牡4歳)。ジャパンという馬名だが、アイルランドのA・オブライエン調教師が管理する馬。昨年、一度は騎乗予定があったものの体調が整わず回避となったブルームと同じ厩舎。4年前のファウンドや、ディラントーマス(2007年)などで凱旋門賞を制しているアイルランドが誇るトップトレーナーだ。
そして、ジャパンの母は1999年に武豊が乗って3着したサガシティーの妹という血統でもある。近走の成績は今一つだが、3歳だった昨年はインターナショナルS(イギリス、GI)で当時かの国のトップホースの1頭だったクリスタルオーシャンを破って優勝。凱旋門賞でも4着に善戦している。世界中のトップトレーナーからお呼びのかかる日本のナンバー1ジョッキーの手綱捌きで、彼が復活してくれる事を願いたい。武豊騎手でこそ、と思える名を持つ馬が、コロナ禍に沈む現在の競馬界に朗報を届けてくれると信じたい。