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オリックス田嶋大樹を変えたコーチの叱責 「180度変わった」思考で掴んだプロ初完封
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/10/01 07:00
プロ入り後初となる完封勝利をあげた16日の楽天戦。捕手・伏見と笑顔でハイタッチした
高山さんに言われなかったら……
完封する1週間前の9月9日の西武戦では、2回9失点と打ち込まれたが、それでも自信を失うことはなかった。
「悔しいですけど、1回ぐらい、ダメな時もある。もちろんその1回ぐらいがなくなればいいんですけど、今の僕のレベルでそんなに欲張れないなと思って、切り替えました。ずっと続けてきたことがそれまでは結果になっていたので、何があっても続けてみようと思った。そういう気持ちで1週間過ごしたら、完封できました。あ、やっぱり自分でしっかり考えてやってきたことは、花咲くんだなと思いましたね」
昨年8月21日のベンチで、「何やってたんだ」の言葉に打ちのめされてからの、すべてが今につながっていると言う。
「高山さんに言われなかったらたぶん今はない。ほんとに感謝ですね」と笑った。
今年、田嶋の思考は「180度変わった」。ネガティブだった思考が、ポジティブに回転するようになった。勝てばさらに自信を増し、打たれたとしても、「打たれるってことは、まだピッチャーとして下手ってことなので、まだうまくなれる、もう一段上に行けるチャンスがあるんだ」と燃える。
タフさを身につけた24歳の田嶋は、先発として山本由伸、山岡泰輔とともに、頼れる太い柱となっている。