猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックス田嶋大樹を変えたコーチの叱責 「180度変わった」思考で掴んだプロ初完封
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/10/01 07:00
プロ入り後初となる完封勝利をあげた16日の楽天戦。捕手・伏見と笑顔でハイタッチした
成果はオープン戦から感じていた
加えて、バランスを向上させるトレーニングを行い、体重移動を修正した。
「走って体を作って、それをピッチングにどう活かすかと考えたときに、次はバランスかなと思った。最大出力を、いかに効率よく発揮できるか、最後に指にかける時に伝えられるかどうかが重要なので」
2月のキャンプを終えた時点で、「これだけの量をやってきたんだから、あとは結果が出るのを待つだけだ」という自信を手に入れていた。
成果は、3月のオープン戦や練習試合で早速感じていた。「球の質がよくなっているし、力を入れなくても球が走るようになっている」と手応えを語っていた。
そして公式戦が始まると、体力的、精神的なスタミナの向上を実感できるようになった。
勝ち星がつかなくても消えない自信
「長いイニングを投げられるようになりましたね。投げる体力と走る体力は別物だと僕は思っているんですけど、でも、あれだけ走ったことによってやはり(スタミナは)ついていると感じます。それに、『しんどくなってから、もう1本』というのをポイントに置きながらやっていたおかげで、マウンドでピンチになっても、そこからもう一段、ギアを上げられるようになった。気持ちが切れなくなりました」
前半戦に勝ち星がつかない時期が続いても、「冬からやってきたことは、後半戦に実るんだろうな。あれだけやったんだから、絶対いつかは花開くでしょ」と、余裕を持ってマウンドに立ち続けられた。前半戦は防御率がリーグ2位と、数字に成果が表れていたことも自信となった。