熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
激怒サポーターから信頼得た? 本田圭佑とボタフォゴの評価一変
posted2020/09/29 11:40
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
AFLO
2月7日にリオ国際空港へ降り立ち、「低迷するクラブの救世主に」と期待する数千人のサポーターから熱狂的な歓迎を受けてから7カ月余り。これまでに見せた一番の笑顔ではなかったか。
9月23日、ボタフォゴはコパ・ド・ブラジル4回戦第2レグでやはりリオに本拠を置く宿敵バスコダガマとアウェーで引き分けた。17日の第1レグで先勝しており、ベスト16へ勝ち上がって賞金260万レアル(約5200万円)を手にした。
試合後、ダブルボランチでコンビを組む21歳のカイオ・アレシャンドレが「ホンダ、ヴィクトリー、フォト」と集合写真を撮るために大声で呼ぶと、背番号4は歩み寄りながら、ダンスがうまい23歳の長身CFマテウス・バビに「踊れよ」と声をかける。一緒にサンバのステップを踏み、やんやの喝采を浴びた。
「日本舞踊」からサマになったサンバ
ブラジルリーグのコリンチャンス戦で元コートジボワール代表FWサロモン・カルーが移籍後初ゴールを決めたときも、皆と一緒に踊った。少々ぎこちなく、サポーターから「あれは日本舞踊というものか」と突っ込まれたが、そのときよりはずっとサマになっていた。
集合写真では、両手を広げて大声で叫び、飛びっきりの笑顔を浮かべた。
試合後、ボタフォゴの公式ツイッターは、「見事なプレーで、ケイスケ・ホンダは白と黒(ボタフォゴのこと)のコパ・ド・ブラジル16強入りの立役者となった」と褒め称えた。
「まるで優勝したような」と言うと皮肉になるが、誰もが手放しの喜びようだった。それには理由があった。
その10日前、ボタフォゴと本田は厳しい状況に置かれていた。
ブラジルリーグで、同じバスコとホームで対戦。トップと最終ラインの間隔が間延びし、チームの攻撃中も3バックが相手CF1人をケアしていたため中盤で数的不利となり、前線からのプレスがかからない。
ボールを奪っても、本田は守備が気になって前へ行けない。攻撃も守備も中途半端になり、珍しくドリブルしていてボールを失い、パスの失敗もあった。