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「五輪に間に合わない」大ケガを乗り越えて アルペンスキー・新井真季子の告白
posted2020/09/28 11:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Ichisei Hiramatsu
思いもよらぬシーズンを過ごしてきた。
新型コロナウィルス感染拡大により東京五輪は来年に延期となったのをはじめ、数々の大会が中止になり、練習もままならなくなった。
その影響は夏季競技にとどまらない。冬季競技もまた、昨シーズンの佳境の時期に大会がなくなり、シーズンは終了。今なお、練習は困難をきわめる競技は少なくない。
アルペンスキーヤー新井真季子もまた、その波にさらされた1人だ。
アルペンスキーも昨シーズンの途中で大会は終了することになった。
「ポイントをとらないと来シーズンにつながらない大事な試合がシーズン後半に半分以上残っていたので痛かったですね」
その頃を振り返って言う。
ただ、「痛かった」だけにとどまらなかった。
「とりあえず来シーズンのための準備をしようと思いました」
その姿勢は、新井の経てきた道のりがつながっているかもしれない。
「負けず嫌いですね。勝負事も好きでした」
誰よりも速く──。
新井は、その一心で、アルペンスキーに打ち込んできた。スキー関係の仕事に従事する父のもと、スキー場に行く姉についていく中、自然にスキーを始めていた。
「お姉ちゃんに負けたくなくて、姉を追い越すのを目標にやっていました」
小学2年生の頃、大会に出始めると速やかに頭角を現した。
「でも中学生、高校生にもっと速い人がいました。次はあの人に勝ちたい、この人に勝ちたい、という具合にやっていました」
すると、笑って言った。
「負けず嫌いですね。勝負事も好きでした。だから負けたくなかった」