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規則違反などで協会や選手と“バトル”の過去も…全米オープン初優勝デシャンボーの努力と願い
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAP/AFLO
posted2020/09/21 18:00
4日間アンダーパーで回ったのはデシャンボーのみ。混戦が予想された全米オープンでその“努力”を証明してみせた
2日目から姿を変えたウイングドフット
超難コースのウイングドフットGCが舞台となった今年の全米オープンは、開幕前、「優勝スコアは8オーバーになる!?」と恐れられていた。
蓋を開けてみれば、初日は攻めやすいピン位置とソフトなグリーンがあいまって、スコアは伸び、21人がアンダーパーで回った。
しかし、2日目からウイングドフットは一変し、アンダーパーで回ったのは、わずか3人。3日目を終えたとき、通算でアンダーパーは、5アンダーのウルフ、3アンダーのデシャンボー、1アンダーのルイ・ウエストヘーゼンの3人だけだった。
そして最終日。ウルフは深いラフと難解なグリーンに翻弄され、焦りを露わにしながら、次々にスコアを落としていった。
ひたすらパーを拾い上げたデシャンボー
一方、デシャンボーはスコアを伸ばさずとも落とさない執拗なゴルフを淡々と続けていた。
華々しい見せ場と言えば、12メートルのイーグルパットを沈めた9番とティショットを右ラフに入れながらも軽々とバーディーを奪った11番だけ。しかし、それらは勝利への決定打ではなかったし、それ以外は、ひたすらパーを拾い続けるゴルフだった。
しかし、そういう彼のゴルフこそが、この日、唯一のアンダーパー・ラウンドとなり、ウルフを6打も引き離す派手な勝利へとつながったのだ。
その強さの秘密は何だったのかと考えたとき、デシャンボーが乗り越えてきた数々の「バトル」が思い出される。