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規則違反などで協会や選手と“バトル”の過去も…全米オープン初優勝デシャンボーの努力と願い
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byAP/AFLO
posted2020/09/21 18:00
4日間アンダーパーで回ったのはデシャンボーのみ。混戦が予想された全米オープンでその“努力”を証明してみせた
スロープレーに指摘、パターも違反?
そもそもデシャンボーと言えば、「スロープレーヤー」が代名詞になっていた。プレー進行のペースを巡って、デシャンボーは米ツアーやUSGAと何度も話し合い、そのたびに「僕のプレーはスローではない。ショットからショット、グリーンからティまでを歩くスピードは誰よりも早い。ショットのときだけではなく、プレー全体を計測したら、僕のペースはむしろクイックだ」と主張して、バトルになった。
2018年1月には、デシャンボーのパターがUSGAの規定違反だと指摘され、そのころ彼がやり始めたサイドサドル式に近いパッティング・スタイルも違反だと指摘されて、さらなるバトルになった。
「ルール違反だと言われたのは生まれて初めてだった」
結局、デシャンボーが折れる格好で、パターを持ち替え、変則グリップと変則の構え方をミックスさせた独自のパッティング・スタイルを編み出し、そのスタイルに変えた直後、メモリアル・トーナメントを制して通算2勝目を挙げた。
禁止されたコンパスは「ずっと前から」
しかし、今度はコンパス問題でバトルが起こった。試合中、デシャンボーがコンパスを使って何かをチェックしていることがルール委員の目に留まったのだ。
「コンパスは船乗りも使っている優れものだ。ピン位置を正しく把握するために、僕はずっと前から、2年ぐらい前から使っている」
デシャンボーは正直にそう答えたが、米ツアーとUSGAが協議した結果、前例さえなかった試合でのコンパス使用は禁止となり、デシャンボーは素直に使用をやめた。
だが、「僕の成績が良くなった途端に、これまでOKだったことをこうして指摘されるのは変だよね」と不平を漏らしたことが、USGAとの溝を深めたことは言うまでもない。
その翌月には、欧州ツアーのポルシェ・ヨーロピアン・オープンで崩れて負けたデシャンボーが、ともに最終組で回って初優勝を挙げた英国人のリチャード・マックエボイから求められた握手を「無視した」と批判され、ちょっとした騒動になった。