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鍵山優真、佐藤駿、友野一希、4回転バトルと「ガンバー」の“熱情”の関係
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byDreams on ICE 2020
posted2020/09/20 17:00
ライバルであり仲間でもある(左から)鍵山優真、佐藤駿、友野一希
新ショート『パイレーツ・オブ・カリビアン』
そして迎えたショート本番。
3人のなかでトップバッターとなった佐藤は、新ショート『パイレーツ・オブ・カリビアン』を披露した。冒頭の4回転トウループは回りすぎて回転が止められずにステップアウト。つづく4回転ルッツは力んで2回転になってしまった。
それでも、初めてブノワ・リショーにリモートで振付を依頼したというプログラムは力強いステップが印象的で、内にエネルギーを秘めている佐藤のキャラクターによくマッチしていた。
「ジャンプのミスはありましたが、初めて滑ったにしては良かったです。去年は(ジュニアのルールのため)ショートで4回転を入れたのは全日本選手権だけでした。今回挑戦して、難しいなと感じました」
初めてローリー・ニコルに振付を依頼した
続く友野は、昨季と同じ『クローマ』。4回転トウループと4回転サルコウに挑み、前衛的なモダンバレエを取り入れた作品を、見事に演じ切った。
「去年に続いてのショートなので、完成度、演技の質を高めたいです。メダルを獲れる選手になれるよう頑張りたいです」と語る。
そして最終滑走となった鍵山は、初めてローリー・ニコルに振付を依頼した『Vocussion』を初披露。2014-15シーズンに故デニス・テンが演じた名プログラムを、同じ振付師であるニコルがあえて選んだもの。所々で同じポーズも盛り込まれ、デニスへのオマージュとしての要素を感じさせる一曲だ。
鍵山は冒頭で「4回転サルコウ+2回転トウループ」を成功。特筆すべきはその助走のスピードで、鍵山が前を通過していった時に、疾風が客席に舞い込んだ。
飛距離も流れもあるジャンプで、試合ならばGOEプラス3~5を期待できる完成度だ。