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新潟記念に3歳で挑戦のワーケア。あのグランプリホースの再来か?
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2020/09/04 19:00
18年の有馬記念を制したブラストワンピース。鞍上の“グランプリ男”池添謙一は歴代最多となる同レース4勝目を挙げた。
馬房で待機しているまでは……。
「馬房で待機しているまでは良かったけど、装鞍所へ入ったあたりから気合いが入り過ぎてイレ込んでしまいました。過去3走にはないくらい、落ち着きを欠いてしまったんです」
その影響があったか、ゲートでは跳び上がるようにして後手を踏んだ。それでもすぐにリカバリーしてうまく流れに乗れたようには思えた。しかし、直線を向いたところで福永祐一騎手騎乗のワグネリアンに上手に立ち回られてしまう。結果、追い出しが遅れる形になったブラストワンピースは5着でこの3歳最大の一番を終戦したのだ。
こうして初めての敗戦を喫したブラストワンピースだが、大竹調教師はすぐに名誉挽回の機会を与える。3歳クラシック路線で人気になるような馬の多くが、秋へ向けて夏場は休みを取る中、若き調教師は同馬をまだ暑さが残る9月頭の新潟で行われる新潟記念へ出走させたのだ。当時、大竹調教師は次のように語っていた。
3歳馬にしてグランプリホースに。
「菊花賞へ向かうならだいたいはセントライト記念か神戸新聞杯ですよね。でも新潟記念の方がその後の間隔を取れるし、ハンデ戦なので3歳馬は斤量的に有利です。今までここを使う3歳馬があまりいなかった方が不思議に思えるくらいです」
新潟記念に挑んだブラストワンピースは日本ダービーとは一転して落ち着いてレースを迎える事が出来た。競馬は後方からになり、向こう正面では早くも肩ステッキが入った。しかし、それで走る気になったのか、その後は終始、楽な手応え。大外を回りながらも再び鞭が入る事はなく、最後はゆうゆうと抜け出し、古馬勢を一蹴してみせた。
その後に出走した菊花賞(GI)は極端なスローペースに折り合いを欠き4着に敗れたが、続く有馬記念(GI)では1つ年上のダービー馬レイデオロらを差し切り、3歳馬にしてグランプリホースとなってみせるのであった。