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大坂なおみ以外にもテニス界新リーダー候補。アフリカにルーツのカナダ人フェリックスの活動と思い。
text by
フローラン・ダバディFlorent Dabadie
photograph byGetty Images
posted2020/09/01 20:00
フェリックス・オジェ・アリアシムも人種問題について積極的な活動を見せ、テニス界に新風を吹かせている。
BNPパリバ銀行と寄付プログラム。
その7年後にATP有数の新星になったオジェ・アリアシムは自身のスポンサーであるBNPパリバ銀行とNGO団体のケアと一緒に「ポインツ・フォア・チェンジ」というプログラムを立ち上げました。
ツアーで獲得した1ポイントごとに、自ら5ドル、スポンサーから15ドルがトーゴの若者を支援する財団に寄付されるのです。今年8月の時点でおよそ100万円を寄付できました。フェリックスは、まだツアータイトルを持っていない20歳の選手なのに、です。
フェリックス・オジェ・アリアシムは全米オープンテニスでの初戦が火曜日の第2試合。勝ち上がるとアンディ・マリー対西岡良仁の勝者と対戦します。彼が入ったドローのボトムハーフは、ベスト8で激突するだろう全豪準優勝者ティームを除けばチャンスに満ちています。
打倒ジョコを目指す新世代の筆頭。
39歳のフェデラーというレジェンドが男子テニスからいなくなった近い将来に、オジェ・アリアシムは打倒ジョコビッチを目指す新世代の勢いを代表するような選手の1人です。
主な武器は長身選手(193センチ)にはなかなか見られない俊敏性。その身体能力を生かし、ジョコビッチを上回るほどの守備力(コート・カバリング)も見ものです。
一方、攻撃ではパワフルなサーブとフォアハンドというワン・ツーパンチがハードコートやクレーに向いています。グランドスラムのベスト成績はウインブルドンの3回戦ですから、オールラウンドな選手と言って過言ではありません。
多民族国家カナダで育ったフェリックスはクロアチア人とモロッコ人のハーフのフィアンセを持ち、「子供の時から好奇心旺盛で異文化に興味津々」と語ります。
実は世界のスポーツ界のスター選手の取材がますます難しくなったこの時代に、オジェ・アリアシム陣営、チーム・フェリックスから珍しく筆者の私に声がかかりました。