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大坂なおみ以外にもテニス界新リーダー候補。アフリカにルーツのカナダ人フェリックスの活動と思い。
text by
フローラン・ダバディFlorent Dabadie
photograph byGetty Images
posted2020/09/01 20:00
フェリックス・オジェ・アリアシムも人種問題について積極的な活動を見せ、テニス界に新風を吹かせている。
本業のテニスをツールに夢の実現を。
代理人に「まだ日本のメディアとの独占インタビューがなく、フェリックスとしては東京2020を前に日本のスポーツファンにアピールしたい」とスバリ言われました。本人を取材したのは8月末、今年から本拠地としているモナコと東京の間のリモートインタビューでした。
30分間をくれたフェリックス選手、予測通りの好青年でした。優等生なだけに、弱肉強食のテニス界では本当にトップ中のトップを狙えるのかという不安の声もありますが、コート上でパンサーに変貌する彼のプロ意識は極めて高いです。テニスという本業を1つのツールとして考え、沢山の夢を抱いています。
「ブラック・ライブズ・マター運動を筆頭に、貧富の差がまだ激しいアフリカのための寄付や、今回のパンデミックで(就職活動に苦戦し)行き詰まりを感じている(カナダの)若い世代の力になれれば嬉しいです」
大坂らとともに世界を変えるか。
彼が8歳の時からずっと憧れてきたフェデラーとナダルは今大会を欠場していますが、連戦で9月末に開催されるローランギャロスでは対戦し、そして打ち破ってもおかしくありません。
世界中の人々の不安が大きいこの時代に、スポーツ界からも真のリーダーの台頭は不可欠です。
大坂とオジェ・アリアシムから学んだように若い世代は必ずしも政治に無関心ではありません。テニス選手だってスポーツの枠を超えて発言する権利があります。いつまでも文化系と体育会系を対立させている古い考えを一掃する意味でも、NaomiとFelixの全米オープンは大いなる戦いの始まりとなります。