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自転車で「鹿児島→北海道」を6日半!
ギネスに挑んだ最強ホビーレーサー。 

text by

柳橋閑

柳橋閑Kan Yanagibashi

PROFILE

photograph byKenichi Yamamoto

posted2020/08/29 19:00

自転車で「鹿児島→北海道」を6日半!ギネスに挑んだ最強ホビーレーサー。<Number Web> photograph by Kenichi Yamamoto

北海道の最北端・宗谷岬に立つ高岡亮寛さん。鹿児島・佐多岬から6日間と13時間28分で走破した。

最終手段は、駐車場で10分間仮眠。

──レースで経験する限界とは違いますか。

 ぜんぜん違いますね。脳が生命の危機を感じて、体にストップをかけているような感覚です。ハンガーノックのときって、糖質が足りなくなって、一時的に脳からの指令で筋肉が動かなくなりますよね。それと似ている感じがしました。ただ、ハンガーノックの場合は、糖質を摂ったら10分、15分でまた走れるようになるじゃないですか。でも、今回は糖質をとっても治らなかったです。

 ブルベ(ロングライドのイベント)をやっている人から、「長期的なハンガーノックのような状態が訪れるよ」という話を聞いていたんですけど、まさにそんな感じでした。それまでは休憩時にサポートカーから椅子を出してもらって座って休んでいたんですけど、それだけじゃもう回復しなくなりました。

 青森でフェリーに乗るタイミングを考えると、できるだけ前に進んでおきたい。でも、動けない……。そこで、駐車場にヨガマットを敷いて仮眠することにしてみたんです。そうしたら、わずかな時間でも頭がすっきりして、脳のロックが解除される感覚があったんですよ。だいたい10分間仮眠すると、そのあと2時間走れる。それが分かってからは、ひたすらそのサイクルを繰り返すことになりました。

──直前までペダルをこぎ続けて、降りた瞬間に眠れるものですか?

 最初は横になって目をつぶっているだけのこともありましたけど、慣れるとすぐに眠れるようになって、最後のほうは休憩のたびに爆睡してました。

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高岡亮寛

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