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自転車で「鹿児島→北海道」を6日半!
ギネスに挑んだ最強ホビーレーサー。
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byKenichi Yamamoto
posted2020/08/29 19:00
北海道の最北端・宗谷岬に立つ高岡亮寛さん。鹿児島・佐多岬から6日間と13時間28分で走破した。
1日300kmじゃ間に合わない。
──この挑戦をやろうと決めてからの準備期間は?
1カ月半ぐらいですね。緊急事態宣言があけて、練習仲間と会うようになったのが6月中旬。それから計画を立てて、前からお世話になっている自転車業界の知り合いやスポンサー企業に相談して、一気に進めていった感じです。とはいっても、自転車を組み立てて、走りに行けばいいわけで、準備段階で難しいことはなかったです。
トレーニングも普段の練習以上に特別なことはしませんでした。むしろ直前の1週間は体を休めて、もっと自転車に乗りたいという意欲を高めるようにしていました。
──鹿児島から北海道までのルート設定はどんなふうにしたんですか。
メインで使ったのはStrava(サイクリングやランニング向けのアプリ)ですね。それで最短ルートを引いてみた上で、日本各地の友達や自転車クラブの人に実際の道路状況を聞いて微調整した感じです。
記録をめざすとなると、1日300kmずつじゃ間に合わない。自分が長時間走り続けられるスピードを考え、だいたい1日400kmを目安に行程を決めました。実際に走ってみると、そのとおりだったというか、毎日400kmというのはかなりきつかったですね。
──期間は8月5日から11日まで。暑さ的にはいちばんきつい時期を選んだ理由は?
僕は暑さには強いんですけど、寒くなるとだめなんですよ。今回も北海道では暴風雨に見舞われて、気温も20度を下回りました。ゴール直前だったので問題はなかったんですけど、もし15度まで下がったら、しんどかったでしょうね。
9月になると、東京が暑くても、東北、北海道はめちゃめちゃ寒くなることがあります。絶対に寒くならない時期ということで、真夏を選びました。
初日から汗疹のトラブル発生。
──とはいえ、暑さのせいで初日から肉体的にはかなり苛酷な状況だったようですね。
初日がいちばんひどかったですね。鹿児島から福岡まで、炎天下を走り続けたせいか、肌が露出している部分が汗疹みたいな感じになってしまったんです。走っている間はともかく、夜がつらかった。そもそも睡眠時間が足りない上に、痒さのせいで何度も目が覚めてしまって。
──それは厳しいですね。でも、病院に行っている時間もなく?
そうですね。2日目まではひたすら我慢していたんですが、3日目に自転車仲間で京都に住んでいる医師の方が、わざわざルート上まで来て、薬を処方してくれたんですよ。それが効いて、後半は痒さに煩わされることもなくなりました。あれには助けられましたね。
今回はSNSを使って、挑戦の過程をリアルタイムで発信していたこともあって、各地でサイクリストの方が応援に駆けつけてくれて、本当に力づけられました。