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J3から引き抜かれた大分・高澤優也。
確固たる形に藤本憲明と同じ匂い。
posted2020/08/19 08:00
text by
柚野真也Shinya Yuno
photograph by
J.LEAGUE
ストライカーとしての佇まいがいい。太々しさがあり、物怖じしない。自分の世界観を持ち、信念の強さを感じる。
今季、大分に加入した大卒2年目の高澤優也だ。
昨季は当時J3だった群馬でプロキャリアをスタートし、打点の高いヘディングシュートと左足の強烈なシュートで17得点を挙げ、得点ランキング2位となった。その活躍が大分強化部の目に留まった。
一昨年前にJ3得点王の藤本憲明(神戸)を引き抜いたスカウト出身の西山哲平GMは、「得点のポイントを持っている」と昨季のエースと同じ匂いを感じた。大分の強化がストライカーに着目する点は、カテゴリーに関係なく、自分の形を持っている選手であること。
「クロスに対し、ピンポイントで合わせる高澤を見たときに可能性を感じた」(西山GM)
とはいえ、J3とJ1では選手個々の強度やスピードが異なり、慣れるまでに時間を要する。実際に藤本もJ3からJ2、J1と段階を踏んで花開いたわけだが、高澤はJ1デビュー戦でいきなり結果を出した。「思っていたより早くJ1に順応した」と西山GMの想像を超えた。
ヤンチャな江戸っ子の高い身体能力。
3節広島戦、83分に1点を追う場面でピッチに立つとファーストタッチが初得点となった。日本代表で泥臭いゴールを量産したストライカーと同じように“利き足を頭”に持つ高澤は、三竿雄斗の後方からのクロスに点で合わせた。
高澤は「出来過ぎ」と謙遜したが、「試合に出たらわずかな時間であっても結果を出すことだけを考えていた。それはこれからも同じ。点を取れば評価される。それがFWだから」とゴールを奪うストライカーの心得を知る。
幼い頃から外で遊ぶことが大好きで、クラスの中心にいつもいたヤンチャなガキ大将。東京都葛飾区生まれの江戸っ子がサッカーを始めたのは小学1年のとき。それからはサッカー三昧の日々だった。
当時から体は大きく、運動神経がよかった高澤は、例外になく幼い頃は王様気取り、何事も自分で決めてしまおうという気概に満ちていた。自陣からドリブルで運び、シュートまで持ち込む。ハットトリックを決めた試合は数知れず。高い身体能力は、この頃からすでに周囲の目を引いていたようだ。