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菊池寛と一緒に「無観客ダービー」へ。
生き証人が語る1944年の日本競馬。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKyodo News

posted2020/08/13 11:30

菊池寛と一緒に「無観客ダービー」へ。生き証人が語る1944年の日本競馬。<Number Web> photograph by Kyodo News

76年ぶりの無観客開催となった今年の日本ダービー。1944年の日本競馬もまた、時代に翻弄されての開催だった。

ダービーの現地観戦が途切れた2020年。

 出走馬は18頭。当日は晴れていたが、前日の豪雨の影響で重馬場だった。勝ったのは好位から抜け出したカイソウ。5馬身差の2着に前年最年少でダービーを制した前田長吉のシゲハヤ。菊池の所有馬トキノチカヒは9着だった。

「関係者は祈るような気持ちで観戦していました。祈ったのはもろろん、武運長久です」

 レース後、関係者は大國魂(おおくにたま)神社まで歩いて行き、御祓いを受けた。

「厳粛な雰囲気でした。レース展開や勝ち馬のことは忘れてしまったのに、そうしたことばかりよく覚えています。あのダービーを含め、子どものころから70年ぐらい、必ずダービーは現地で観戦していたのですが、それが今年、途切れてしまいました」

 初めての無観客ダービーから76年。コロナウイルスとの戦いに勝って、来年の「競馬の祭典」を迎えられることを祈りたい。

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