サムライブルーの原材料BACK NUMBER
片目が見えなくても超ポジティブ。
松本光平、「何とかなる」の原点。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byYuki Suenaga
posted2020/08/06 20:05
ニューカレドニアでは屋根が藁葺きのホテルに住んでいたという松本。すべての経験をポジティブにとらえている。
ヤンゲン・スポールで念願のCWC出場を決めた。
再びニュージーランドに戻ることを決断し、ホークスベイ・ユナイテッドに入る。ここが大きな転機ともなった。
「ようやくコンスタントに試合に出られるようになったのがホークスベイでした。監督がエバートン出身で、縦に速いサッカーを目指してサイドバックもガンガン上がれっていう人だったのでよく使ってもらいました」
走り疲れない、戦い疲れないタフな日本人フットボーラー。
ニュージーランドやOFC(オセアニアサッカー連盟)での評価がグッと高まっていく。CWCを目指す松本はOFCチャンピオンズリーグに出場するフィジーのチームに短期レンタル移籍をする。
所属元はニュージーランドに置きながら、チャンピオンズリーグ出場で周辺諸国に短期移籍するパターンが続く。
ニュージーランドのワイタケレ・ユナイテッド時代にはバヌアツに渡る。そしてハミルトン・ワンダラーズに入ってから短期移籍したニューカレドニアのヤンゲン・スポールで念願のCWC出場を決めた。
「家の屋根は藁で、僕のホテルも藁」
いろんな国でサッカーをして生活をすることが人間としての幅を広げた。
「フィジーってリゾート地のイメージがあるじゃないですか。でも僕、海を見たことほぼないんです(笑)。内陸の小さい町なんですけど、チームを凄く応援してくれていてスーパーに行くと『好きなものを持っていっていいぞ』って。
知らないオジさんが自分の家に急に入ってきたり、地域の子供が1週間くらい居座ったり……。日本じゃ考えられないけど、フィジーではそれが普通で、細かいところを気にしていたら生活していけませんから。
ニューカレドニアのヤンゲンも凄かったですね。地元の人は狩猟を職業にしているので、選手の家に遊びに行くと仕留めた動物を飾ってあったりするんです。家の屋根は藁で、僕のホテルも藁。なかなかない経験でしたけど、楽しかった。僕はどこに行っても、どんな生活でも楽しめる自信があります」