セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
人間臭いユーべ9連覇とサッリ親分。
ビッグイヤーも、獲ったるけえの。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/08/05 11:50
ロッカールームで歓喜の“スパークリングシャワー”を浴びたサッリ監督。しかしユーべの目標はすでにビッグイヤー獲得に切り替わっている。
気がかりなディバラのコンディション。
「(事実上の優勝決定戦となった34節)ラツィオ戦の後、もはや優勝は決まったという気になったもんだから、チーム全体で張りつめていた気持ちが緩んだ。一度抜けたコンセントを全員はめ直さにゃならん」
リヨン戦に向け、サッリ親分は根性を入れ直すと強調しているが、何よりの気がかりはディバラのコンデイションだろう。
6月中旬のリーグ戦再開以降、ユーベ攻撃陣の軸はディバラだった。絶対エースとして君臨するC・ロナウドが、再開後に5大リーグ屈指の10得点を決められたのも、サッリがベビーフェイスの10番をゴール脇のベストパートナーとして再生させたことが大きい。
ディバラは、優勝を決めた先月26日の36節サンプドリア戦で太腿の筋肉異常を感知し前半で交代、その後の2試合を欠場した。
回復を待つ親分は、カリアリ戦でロナウド/イグアイン/ベルナルデスキの3トップを試したものの、これがまるで機能しなかった。
“王様”ロナウドも意気軒昂。
ディバラを起用できるか否かはリヨン戦の逆転突破はもちろん、その後のファイナル8トーナメント攻略に直結する。もちろん、リヨン戦にはロナウドも並々ならぬ意気込みで臨んでくるだろう。
今季のセリエAでも31ゴールを記録して、欧州3大リーグ(イングランド、スペイン、イタリア)それぞれで50得点達成という偉業を成し遂げたが、インモービレ(ラツィオ)に競り負ける形でセリエA得点王を取り逃した。衰えることを知らないゴールへの渇望はCLに向けられる。
また、今回のファイナル8トーナメントは母国ポルトガルにおける集中開催とあって、ロナウドは一層高いモチベーションで臨んでくるはずだ。
“王様”は過去の大会でも、大舞台になればなるほど勝負強さを発揮してきた。あらゆる指導者が頼りにしたくなるのも無理はない。