スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
波瀾含みの開幕と集団感染。
マーリンズの危機は克服可能か?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2020/08/01 08:00
開幕直前の21日、アトランタ・ブレーヴスとの練習試合に臨んだマーリンズ。選手たちがアトランタの街を遊び歩いていたという疑惑も報じられている。
66日間で60試合を開催するという過密スケジュール。
とにかく、マーリンズの試合は、8月2日(日曜日)までの全7試合が延期になった。
先週末、マーリンズと戦ったフィリーズも、月曜と火曜にホームで予定されていた対ヤンキース2連戦と、水曜と木曜にニューヨークで予定されていた同カード2連戦を延期することになった。
どちらも致し方のない措置だ。遅れた分はダブルヘッダーの連打で取り戻そうという考えだろうが、穴はあまりにも大きい。この程度の弥縫策で、事態は収拾可能なのだろうか。
危惧する声は方々から上がっている。
今シーズンは参加しないと表明した選手の一部には「そら見たことか」に近い発言があったという報道も見られる。同じ野球人なのにそれはないだろうと思いたいが、66日間で60試合を開催するという過密スケジュールには、私も不安の念を抱いていた。
この日程では、オフが6日間しかない。通常の雨天順延だけでも、6日間はすぐに消費されてしまう。
《PCR陽性反応者と濃厚接触した者は2週間の隔離》という世間の方程式を当てはめられるような余裕は、どこを探しても見当たらない。
全試合が停止される可能性は十分に考えられる。
そもそも、この強引な日程の推進者ともいうべきコミッショナーのロブ・マンフレッドが、MLB.comのインタヴューに応えて、「もしアウトブレイクが1球団にとどまらなかった場合……つまり当分プレーのできない選手が集団的に発生した場合、そのときは本当に憂慮すべき事態といわなければならないだろう」と述べている。
実際、これは杞憂などではない。マーリンズに近い状況のチームがもう1球団、あるいは2球団でも出現すれば、全試合が停止される可能性は十分に考えられる。
その場合、年間60試合のシーズンはさらに短縮されるのか。それとも、シーズン打ち切りが宣告されて、考えたくもないような破局が球界を見舞うのだろうか。