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フィギュア全日本強化合宿で見えた
鍵山優真、佐藤駿ら13人の決意。
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byManabu Takahashi
posted2020/07/28 19:00
今季から本格的にシニアに挑戦する鍵山優真。自粛期間中は筋力の強化や体幹のトレーニングに努めたという。
「何かを変えなくてはいけないと感じました」
さらにグループCで登場したのは、友野一希、山本草太、坂本、松生理乃の4人。このグループは、それぞれが新ジャンプに次々と挑戦し、何度転倒しても跳び続ける、闘志の溢れる練習が見られた。
友野は、プログラムに入れる予定の4回転サルコウとトウループだけでなく、4回転ループに何度も挑戦。回転はまだ足りていないものの、感覚を少しずつ掴んでいる様子だった。
「この合宿では山本草太選手と同じグループなので、お互い刺激しあいながら、高め合っていければいいかなと思います。昨季は、最後の四大陸選手権のフリーで4回転3本に臨んだのですが、今季はそれを固定していきたいです」
また山本は、名古屋から大阪に拠点を戻し、リスタートのシーズンとなる。
「全日本選手権が(7位に)終わってから、何かを変えなくてはいけないと感じました。今までは自身自身だけという気持ちでやってきましたが、少しは先生に頼ろうという気持ちで関西に戻って来ました。前向きに臨みたいです。2月に4回転ループに取り組んだのですが、なかなか回らなくて、次は4回転フリップやルッツに取り組もうと練習をしています。今季は1つ1つの試合を大切に、楽しみながら全力で頑張りたいです」
15歳ながら幅のあるジャンプを決める松生。
また坂本は男子に混じって4回転トウループを練習した。回転は足りているものの、勢いを止めきれずにダイナミックに転倒。それでもすぐに立ち上がり、果敢に挑み続けていた。
「男子の4回転を見て研究できる良い機会です。試合だと1回しか見られませんが、練習だと、こういう時は良くて、こういう時は悪いんだなというのを何回も見られます」
プログラムは、フリーは昨季の『マトリックス』を継続。ショートはバッハの『プレリュード第二番』で、ブノワ・リショーからオンラインで振付の指導を受けた。
「オンラインでの振付は、左右や正面が分からないので、手こずりました。今までとは違う雰囲気のプログラムで、大人の女性を演じたいです。まずは、昨季がすごく成績が悪かったので、今季はしっかり自分の演技をしたいです」
また昨季のジュニアグランプリで3位の表彰台に乗った松生理乃も合宿に参加。まだ15歳ながら、幅のあるジャンプを決める選手だ。
「今年から中京大中京高校に入り、色々なスポーツをやっている選手のクラスに入りました。勉強もスポーツも切磋琢磨して励んでいける良い環境です。トリプルアクセルは去年から練習していますが、去年よりも回るようになってきました」
合宿全体としては、ジャッジによるプログラムチェック、ルールセミナー、基礎の氷上グループレッスン、陸上での表現力教室など多彩なプログラムが行われた。
感染拡大を懸念して、試合や合宿を中止することも出来る。しかしそれは選手にとっては命取りだ。参加者のPCR検査や、健康チェック、ソーシャルディスタンスの確保など様々な面に気を配りながら、この合宿の場を設けた日本スケート連盟の緊張感は相当なものだったはず。貴重な4日間で選手たちはそれぞれの進化を遂げ、新シーズンへの第一歩を記した。