「やっと元のジャンプの状態が戻ってきた」

　昨季の『美しき青きドナウ』を継続するのか、『黄昏のワルツ』を先輩から受け継ぐのか、いずれにしても美しい演技が期待できそうだ。

　また川畑は、ホームリンクの神宮外苑アイススケート場で樋口と一緒に練習しており、トリプルアクセルの手応えを掴みつつある。

「緊急事態宣言中の自粛が明けてから、やっと元のジャンプの状態が戻ってきたので、トリプルアクセルの練習も始めました。今季は、まずは試合に目標は置くけれど、それが無くなった時にモチベーションを落とさないよう、普段の細かい目標を意識しながら練習していきたいです」

「人のいない時間帯に外で走り込みをしたり」

　一方、横井は、新しいショートとフリーの振付チェックに余念がなかった。ショートは映画「君の名は。」の『なんでもないや』の英語版で、鈴木明子の振付。フリーは『トムとジェリー』のオーケストラ版で、佐藤操振付だ。合宿では、細かい表情や手の動きなど、入念な指導を佐藤コーチから受けていた。

「ショートは、綺麗なしっとりした曲にしてみようと思い選びました。フリーは母から『コミカルな曲をやってみたら』と言われ、先生と相談して決めました」

　横井は、緊急事態宣言中も氷上練習の機会に恵まれていたが、逆にモチベーションのコントロールで苦しんでいるという。

「フィギュアスケートはもともと夏に試合がないので、自分には何ら変わりがないはずなのに、まわりの環境の変化に流されてしまいました。秋には試合は始まるのに、心の準備が出来ていない状態になっています。去年の自分に追い付く気持ちをモチベーションにしていきたいです」

　また田中も、プログラムのブラッシュアップを中心に取り組んでいた。まずは2種類の4回転の安定感を取り戻したいという。

「1カ月半滑れなかった期間は、部屋で出来るトレーニングを色々な形でやったり、人のいない時間帯に外で走り込みをしたり、回転練習をしました。まだ自分が思い描くジャンプに戻っていませんが、あまり思い詰めないようにやっていきたいです」

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