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クラッシュのフェルスタッペンが2位!
結果以上のものを得たハンガリーGP。
 

text by

尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2020/07/20 11:40

クラッシュのフェルスタッペンが2位!結果以上のものを得たハンガリーGP。<Number Web> photograph by Getty Images

メカニックとドライバーの見事な連携から生まれた望外の2位という結果。レッドブル・ホンダというチームの成熟がうかがえる。

「残り10秒」「残り5秒」

 まさかレースに参加できるとは思っていなかったフェルスタッペンは、慌ててヘルメットをかぶり、コクピットへ乗り込む。

 しかし、この段階ではまだ完全に作業は終わっていなかった。作業を続けるメカニックたちへチーフメカニックから作業時間終了までの残り時間を知らせる合図が分単位から秒単位に変わる。

「残り10秒」

「残り5秒」

「インターミディエイト(雨用と晴れ用の中間)タイヤを装着せよ」

 その合図をコクピットの中で聞いたフェルスタッペンは、ようやく自分がレースに参加できることを実感した。

 作業を終えてマシンから離れるメカニックたちにサムズアップして、フォーメーションラップをスタートさせたフェルスタッペンは、修理されたサスペンションがきちんと機能しているかどうか、ストレート上でステアリングを左右に切って確認。そして、無線でエンジニアにこう伝えた。

「うん、大丈夫。いい感じだよ」

フェルスタッペンがレースの裏を読んだ。

 フォーメーションラップを終え、アウト側の7番グリッドに着いたフェルスタッペンはスタート前、ひとつの賭けに出た。

「路面が乾きつつある。おそらく1コーナーはポジションをキープしようとイン側に集中するはず。そうなると渋滞になる。だったら、アウト側から攻めよう」

 フェルスタッペンの閃きは、当たった。

 1コーナーでアウト側からセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に並びかけたフェルスタッペンはそのままオーバーテイク。7番手から一気に3番手まで浮上した。

【次ページ】 メカニックが考えた逆転の秘策。

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