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指揮官が明かした大谷二刀流プラン。
『サンデー・ショウヘイ』誕生か。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byAFLO
posted2020/07/11 11:50
674日ぶりに紅白戦で実戦登板を果たした大谷。50球投げて7四球も「問題なく、球数をとりあえず投げられて良かった」とコメント。
感覚を取り戻すにはもう少し数が必要だ。
だが、思う。
大谷はこの674日の間に2度も体にメスを入れた。1度目は2018年10月1日に行った右肘のトミー・ジョン手術(側副靭帯再建術)であり、2度目が2019年9月13日の左膝二分膝蓋骨の手術だ。
投手・大谷は160キロのボールを投げるパフォーマンスを誇る。そのメカニックは、言うまでもなく繊細であり、体には大きな負荷も各所にかかる。
約22カ月の間に体の2カ所にメスが入ったのだから、160キロのボールを打者に投げるための微妙な感覚は簡単には戻らない。それこそ『数』が必要だ。
更には、相手打者は味方であり、メンバーはアルバート・プホルス、アンソニー・レンドン、アンドレルトン・シモンズら錚々たる右打者だった。この時期、主力打者への死球はご法度であることは言うまでもなく、外角低めに引っ掛けるようなボールが続くのも無理はなかった。
「思い切りは投げていないですし」
日頃から何もかもがパーフェクトであるのが大谷のイメージでもあるが、その中で彼がしでかした失態劇は、彼も普通の人間であることを証明したようにも感じた。微笑ましい674日ぶりの実戦。そう感じたのは筆者だけではなかったのではないだろうか。
開幕へ向けての細かい調整は彼に任せ、今は50球を投げ、体に異変が起こっていないことを喜ぶべきだろう。それはオンライン取材で話した彼の言葉にも表れていた。
「問題なく、球数をとりあえず投げられたので、それは良かったなと思います」
また、こんな表現もした。
「(右肘への)怖さは特になかったですね。もちろん思い切りは投げていないですし。右のバッターが中心だったので、どちらかと言うとやっぱり置きに行ってしまったのが強いかなという感じがする。手術明けの不安と言うよりはそういう面が大きかったかなと思います」