ボクシングPRESSBACK NUMBER
田中恒成「これだけ必死だったのは
初の世界戦と木村さんの試合ぐらい」
text by
![渋谷淳](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/e/d/-/img_edc914fc338a5bbcf41ac377fabc334211232.jpg)
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2020/07/09 11:10
![田中恒成「これだけ必死だったのは初の世界戦と木村さんの試合ぐらい」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/2/f/350/img_2fc5618d8e08c1b86967e40a9fdbecf6156009.jpg)
木村との世界戦に勝利後、田中は3度防衛し王座を返上。階級を上げて井岡一翔とのビッグマッチが予定されている。現在まで15戦15勝(9KO) 無敗。
「見ている人にも伝わるものがあったと思う」
順風満帆に見える田中だが、減量に苦しんで十分なコンディションをつくることができなかったり、序盤にダウンを食らってヒヤヒヤしたりと、決していつも納得のいくパフォーマンスを演じてきたわけではない。
そんな田中にとって、けがという試練も乗り越えて、全身全霊を傾けることができた木村戦は、心身ともに学びにあふれ、自身の成長を実感できる一戦となったのだ。
「練習の段階からこれだけ必死になってやったと言えるのは、初めて世界タイトルを獲った試合と、木村さんとの試合くらいなんです。だから世界を獲った試合と、木村さんとの試合は、見ている人にも伝わるものがあったと思う。
“がんばる”の基準も上がりました。あれくらいがんばらないと、これからはがんばったと言えないと思うんですよね」
ただ強いだけではなく、ただスキルに長けているだけでなく、見ている者の心に訴えかけるような試合をしたい。世界タイトルを手にし、3階級制覇まで走り抜けた田中がいま求めているのはそういうことなのだろう。
好敵手を得て繰り広げた名勝負は、日本ボクシング界の将来を担うであろう田中を、ひと回りもふた回りも大きくした。
![](https://number.ismcdn.jp/common/images/common/blank.gif)