セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
冨安健洋がロナウドを前に魅せた。
地元紙も称えたタフネスと技術。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/06/24 18:00
あのクリスティアーノ・ロナウドを前にしても、怯まず食らいついた冨安健洋。技術とタフネスを世界に見せつけた。
ロナウドのPK、ディバラの超絶弾。
クロスは許しても、狙いが外れて得点につながらなければ、それはマーカーの勝ちだ。
しかし、再開に合わせて急造を余儀なくされたボローニャの最終ラインは、徐々に脆さを露わにした。
左SBで出場したのは長期故障離脱から復帰したDFダイクスで、先発は実に9カ月ぶり。主戦センターバックのバーニは出場停止で、代役として先発したDFデンスウィルは相手のCKの際に不用意なPKを与えてしまった。
23分、ロナウドがPKを正面に蹴り込んで先制する。王様が貫禄を取り戻したユーベは36分にも追加点を奪う。
DFデリフトからの縦パスにFWベルナルデスキがヒールで合わせ、受けたFWディバラは流れるような2ステップを踏み、左足で叩き込んだ。GKブッフォンをはじめとするベンチ組を総立ちにさせるほどのビューティフル・ゴールだった。
「本当のことを言えば、今日はゲーム序盤の段階であまり調子が良くないと感じていた。ゴールはフェデ(リコ・ベルナルデスキのヒールアシスト)に感謝だ。たぶんボローニャの守備陣は僕らのワンツーを予測していたと思うんだけど、いいポジションが取れたから強いシュートが打てた。シーズンが再開して、すぐにトップコンディションへ持って行くのは難しい。自信が必要になってくる」
CR7対策に追われて攻撃は……。
試合後、ディバラは自身の鮮烈なゴールを喜びつつ、スクデットレースへ厳しい表情を崩さなかった。新型コロナウイルス感染症患者として重症化も危惧された選手だけに、彼の復活はサッリ監督にとって大きな福音だろう。
パフォーマンス不足で叩かれていたユーベが復調を図る相手として、ボローニャはある意味格好の相手だった。
ひたすら守りを固めるでもなく、ダーティーな潰し合いを仕掛けてくるでもない。さりとてカウンター攻撃に特化するでもない。
ボローニャの攻撃は、57分にベテランFWのパラシオを入れてやや活性化したが、彼らの得点源の1つだったFWオルソリーニによる右サイドからの攻撃は、CR7対策に追われる冨安のサポートが望めないことで厚みに欠けた。
暑さもコンディション作りの難しさも双方にとって同じ。手探りの開幕戦に戦術的冒険もできず、ボローニャは正攻法でぶつかり、正面から敗れた。