フランス・フットボール通信BACK NUMBER
仏女子サッカー無情の打ち切り。
王者リヨンとの決戦を信じたPSG。
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph byinstagram@mariekatoto
posted2020/06/29 17:00
フランスはサッカーリーグの打ち切りを決めた。来るべきシーズンの再開を信じて選手たちは準備をしていたのだが……。
ここまでいい流れに乗っていたのに。
コミュニケーションツールとしてはワッツアップが活用された。選手たちのグループ、テクニカル及びメディカルスタッフのグループのふたつに、様々な情報や通達事項が伝えられた。エシュアフニは言う。
「選手の最大の関心事は『いつ活動が再開するか?』だ。あと数週間は我慢が必要であるのは分かっている。だから今はそのときのために備える。リーグはまだ6節残しているから、優勝の可能性は大いにある。リヨンとの決戦(首位リヨンと2位PSGの勝ち点差は3)を残しているし、ボルドーとのフランスカップ準決勝もある。3月25日にはアーセナルとのCL準々決勝第1戦も控えていた。昨シーズンからここまで、PSGはとてもいい流れに乗っていたんだ……」
だが、活動が再開ができない今は、心身両面から選手たちを気遣う以外にない。
「(サッカー以外の)スポーツをする。あるいは犬と散歩する。いずれにせよ普段は時間がなくてなかなか出来なかったことができる時間を得たのだから、その時間を大いに活用すればいい」とエシュアフニは言う。
続く、我慢の日々。
「私に関して言えば、対戦相手の試合をこれまでになくたくさん見ている。これからの試合に向けて、じっくりと分析して十分な対策が立てられるからね。それから次の移籍市場の準備もしている。チームの弱点を明らかにして出来る限り効率的に補強ができるように、やれることは今のうちにすべてやりたいと思っている」
今はまだ再開への兆しは何も見えてはいない。未来が見通せない今の状況を打破するためにも、エシュアフニはこの中断のダメージが最小限に収まることを願っている。だが、ことはそう簡単ではない。
「3月は実り多い月になっているはずだった。シーズン当初からの努力が実り、すべてがいい方向に進んでいた。しかし今日の状況を考慮すると、今はサッカーよりも重要なことがたくさん見えてくる。私たちにできるのは粛々と日々の生活を営み、政府の指示に従いながらその日を暮らすだけだ。そしてそんな日々に、なるべく早く適応することを求められている……」
我慢の日々は、まだしばらく続く。