フランス・フットボール通信BACK NUMBER

仏女子サッカー無情の打ち切り。
王者リヨンとの決戦を信じたPSG。 

text by

フランク・シモン

フランク・シモンFrank Simon

PROFILE

photograph byinstagram@mariekatoto

posted2020/06/29 17:00

仏女子サッカー無情の打ち切り。王者リヨンとの決戦を信じたPSG。<Number Web> photograph by instagram@mariekatoto

フランスはサッカーリーグの打ち切りを決めた。来るべきシーズンの再開を信じて選手たちは準備をしていたのだが……。

理想的ではないが気持ちを保って。

 期間中もフランスに残ったキャプテンのイレーネ・パレデスは、トレーニングについて次のように証言する。

「一戸建てに住んでいるか共同住宅住まいかでトレーニング環境は全く異なる。適応は簡単ではなかった。私は自転車を持っていないうえに、サンジェルマン・アン・レの森が閉鎖されていたから、共同住宅の周囲をジョギングするしかなかった。また筋力トレーニングも重点的にしている。あとは犬と一緒に散歩するぐらいかしら……。みんな気持ちをしっかりと保って、ここまでは誰もがいい状態を維持している。もちろん理想的とはいえないけど、こうする以外にはないから……。

 それから選手たちとはコンタクトをとるようにしている。みんな高いモチベーションを保ったまま頻繁にメッセージを交換している。直接会って冗談を言いあうことはできないけど、ポジティブな状態を保ってはいるわ」

 エシュアフニとクラブにとってもうひとつの懸念事項が、精神面でのサポートであった。エシュアフニは言う。

「特に外国人選手たちとは(精神的に)身近に寄り添って、決して見放したりしないという態度を示した。定期的に電話をかけているし、情報を収集して家族や近しい人たちの健康を気遣うようにしている」

選手と冗談を言い合えるように。

 エシュアフニが例外的にうまくいったと語るのはナディア・ナディム(本コラム5月12日参照)のケースである。外出禁止令の出る直前に彼女は、制限がより緩やかなデンマークに帰国できたのだった。

「毎日のように森に行ってリフレッシュしているという。北ヨーロッパはここフランスよりもずっと過ごしやすいようだ」

 エシュアフニ自身は、禁止令が出される直前にツールーズ近郊の自宅に戻ることができた。パリを離れても、選手たちとの関係を維持していくうえでは何の問題もなかった。

「もちろん彼女たちと一緒にいられるわけではない。ただ、それでもテレビ電話などを通していろいろ話をして冗談を言いあえるのはこんな状況になったからで、それはそれで逆に良かった。彼女たちには様々なメッセージを送っている。『気持ちを強く持とう!』、『メンタルこそが最も重要なんだ!』、『家族を大事にして彼らの力になって!』というような」

【次ページ】 ここまでいい流れに乗っていたのに。

BACK 1 2 3 4 NEXT
#パリ・サンジェルマン
#オリビエ・エシュアフニ
#アラナ・クック
#ジョルディン・ウイテマ
#リヨン

海外サッカーの前後の記事

ページトップ