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一軍初勝利、楽天新監督の素顔とは?
あの名将の真髄を継ぐ知将・三木肇。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2020/06/19 21:20
日本ハム、ヤクルトなどでの育成では素晴らしい実績を残している三木肇監督。初の一軍采配でチーム躍進を誓う。
成長を促す指導を大切にする三木監督。
指導者としての三木は、主戦場である守備と走塁を駆使した「緻密な野球を展開する」といったイメージを持たれている。自身も「根本にあるのは、1点を守り抜く野球」と掲げるようにそれは間違いないが、厳密には、細かい野球を形にするための過程に重きを置く指導者である。
トライアル&エラー。
三木は、選手にミスを自覚させ、成長を促す指導を大切にする。
走塁で挙げるならリード幅。実戦で「もう半歩リードしてみろ」と選手に指示する。その距離で帰塁できるなら「もう半歩」。そこで、相手投手の牽制球でアウトとなれば「それが、今の適正リード幅だ」と認知させる。
三木は指導の際に必ず裏を取る。
確証がない限りは実行しない。裏を返せば、実戦でトライアル&エラーという検証を繰り返すからこそ、立証もできるわけだ。
「知識もプロフェッショナルじゃないと」
「僕はね、選手たちに『野球のプロ』を目指してほしいんですよ」
プロ野球の選手ではない。それこそ、三木が現役時代に気づいたように、プロとして野球という競技をとことん掘り下げ、理解できる選手を育成していきたいと願望を語る。
「知識もプロフェッショナルじゃないと、本当の意味でのプロ野球選手にはなれないのかなって思う。例えば、ひとつのエラーが得点に繋がったとしますよね。ただランナーが出ただけじゃ点は入らないわけで、そこにはランナーやバッターたちの駆け引きが必ずある。
そういう部分をしっかり説明できる選手になってもらいたいんです。僕自身、まだまだ覚えるべきことはたくさんありますが、選手たちと一緒に野球というものを学んできたい」