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チェ・ヨンスは本当に怖かった……。
驚愕の“パネンカ”と取材激闘秘話。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byPenta Press/AFLO
posted2020/06/13 20:00
2013年にはアジア年間最優秀監督も受賞している崔龍洙。現在はK1リーグのFCソウルを率いる。
安貞桓「も~10年前に、そういうの決めてよ~」
試合前日の練習時でのことだ。当時のメンバーが会場のソウルワールドカップスタジアムに集って、シュート練習をやっていた。前方にパスを出し、ポスト役がボールを返して、それを打つ。大注目イベントだから、公式戦ばりにメディアも多く集まってめいめいカメラを向け、メモを取っていた。
ここで崔監督、昔とった杵柄でドスーンとネットに突き刺すシュートを決めた。
これに対し、すぐそばで見ていたチームメイトからヤジが飛んだ。
「も~10年前に、そういうの決めてよ~」
安貞桓だった。クールなイケメンとして知られた彼の“先輩イジり”。
崔がすかさず返した。
「おい、おまえのせいで試合に出られなかったんじゃないか。この○○○(自主規制)が!」
その場がドッと沸いた。
確かにセンターフォワードを競い合った'02年W杯での出場時間、安貞桓7試合533分、崔龍洙1試合21分。安はFW陣最多で、崔は下から2番目だった。
いい情景だった。キャリアで2度とないだろう自国開催のW杯。そこでの挫折。でも時が経てば、そうやってポジション争いで敗れた相手にイジられても、言い返せるのだ。
シャツを脱いで、筋肉隆々ポーズを!
ちなみに翌日のオールスターゲームでも崔龍洙は“大暴れ”。
3-6で現役チームにやられた試合で、一矢を報いるゴール。
直後、シャツを脱いで、筋肉隆々ポーズをやってみせた。
当時、大流行になったユーロ2012でのイタリア代表、マリオ・バロテッリのゴールパフォーマンスを真似たものだ。さすがに現役時代とまったく同じ体型とはいかない。現地メディアには「腹肉テッリ」などと書かれ放題書かれていた。