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鎌田が憧れ、宇佐美の初陣で気配り。
長谷部誠アジア人最多出場の深み。 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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photograph byGetty Images

posted2020/06/11 20:00

鎌田が憧れ、宇佐美の初陣で気配り。長谷部誠アジア人最多出場の深み。<Number Web> photograph by Getty Images

今季のフランクフルトは苦戦を強いられている。とはいえ長年にわたってブンデスで戦う長谷部誠の価値が減じることはない。

宇佐美がデビューした試合では。

 また、気配りの仕方にも印象深いものがある。

 あれは、宇佐美貴史がバイエルン・ミュンヘンでデビューした試合だ。後半24分から途中出場したものの、チームが先制ゴールをあげた後の戦術的な理由もあり、終了間際に交代を命じられてしまった。

 試合後、宇佐美はミックスゾーンを足早に通り抜けていったが、そんな様子をみた長谷部は落ち着いた口調でこんなことを語り出した。

「デビュー戦で難しい局面で入ったからね。だけど、こういうところで使ってもらえるということは練習で認められているということ。途中で入って途中で下げられるなんて僕もしょっちゅうあった。マガト監督のとき。全然気落ちすることはないですよ」

 それは「気落ちしても仕方ないけど、この悔しさをバネに頑張れよ」という宇佐美への気配りであったのと同時に「だから変なことは書かないでよ」という、我々報道陣へのメッセージだったと僕は受け止めている。

クラブ首脳陣も一選手以上の期待。

 そんな長谷部だから、クラブの首脳陣も一選手として以上の効果を期待している。

 2013年にヴォルフスブルクからニュルンベルクに移籍したときは、当時ニュルンベルクのスポーツディレクターだったマルティン・バーダーが「マコトは模範的なプロ選手としての心構えを持っていて、ピッチ上でもピッチ外でもチームを引っ張るリーダーの素質を備えている。彼の話を若い選手はしっかりと聞くことだろう。優勝経験のある選手はうちにはいない」と話していた。

 フランクフルト移籍の際は、当時の監督だったトーマス・シャーフが「技術的に確かなものを持つ選手で、経験豊富だ。ハセベは高いクオリティを備えている。そうでなければ、日本代表でキャプテンを務めたりはしない」と最大級の評価を口にしていたほどだ。

 長谷部加入後フランクフルトはさらなる成長を遂げ、2017-18シーズンにドイツカップで優勝し、昨シーズンはヨーロッパリーグ決勝まで進出。その中心に長谷部がいる。

「監督やチームメイト、本当にいい出会いがあるから、こういう試合数を重ねられている。それは、本当に周りに感謝しなきゃいけない」

【次ページ】 今季ブンデスでは3番目の年長に。

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