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大坂なおみが“市場価値”の頂点に。
年収40億円の評価と先人が拓いた道。
posted2020/05/30 11:50
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Getty Images
18歳だった大坂なおみがグランドスラム・デビューを果たした全豪オープンで、当時マネージメントを行なっていたオクタゴンの担当者はこう言っていた。
「ナオミの市場価値はグローバル規模で必ず高まる。生い立ちも含めて、ミステリアスな魅力があるから。人はそういうものに惹き付けられる」
当時、大坂の世界ランキングはまだ120位台にすぎなかったからなおさら印象的で、よく覚えている。あれから4年、大坂の“市場価値”は女子スポーツ界の頂点に達した。
アメリカの経済誌『フォーブス』が毎年調査する、世界のいわば長者番付の中の女性アスリート部門で、これまで4年間トップを守っていたセリーナ・ウィリアムズを抜いたのだ。
そればかりか、その推定年収3740万ドル(約40億円)は史上最高額でもある。ちなみに過去最高額は、2015年にマリア・シャラポワが叩き出した2970万ドルだった。
思い出した全豪での大坂のジョーク。
もう1つ、このニュースを聞いて思い出したのは、今年の全豪オープンで、森林火災の被害に多くの選手たちがそれぞれの方法で寄付を申し出ている中、記者会見で大坂が言ったことだ。
「私も自分が何をすべきか考えたわ。最初、アンフォーストエラーのたびに150ドルを積み立てて寄付しようと思ったんだけど、そうすると私が貧乏になっちゃう。私はアンフォーストエラーがあまりにも多いから」
もちろん大坂得意のジョークを言ったわけで、そういう無邪気な言動が人気の理由の一つでもあるが、さすがにあんなジョークはもう笑ってもらえないだろう。
セリーナも、2位に甘んじたとはいっても大坂をわずか140万ドル下回るだけの3600万ドルの収入で、シャラポワ越えとともに自身最高を更新した。
テニスの賞金の高額ぶりは今ではかなり世間に知られており、大坂の昨年の獲得賞金は約680万ドル、セリーナは約430万ドルだったが、賞金だけなら世界1位のアシュリー・バーティがそれらをはるかに上回る約1110万ドルを獲得している。何しろ、破格の賞金で話題になったWTAファイナルズの優勝だけで、セリーナの1年分の賞金を手にしたのだ。
そんな中、大坂とセリーナがずば抜けているのはスポンサー契約料だ。