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先発転向の楽天・松井裕樹。
抑えで「三振」の重みを知った。
posted2020/06/01 07:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
KYODO
こどもの日に、第一子が誕生したと報じられた。愛娘を授かり、父となったのは24歳の松井裕樹だ。彼を初めて見たのは9年前、松井が15歳のときだった。中学を出たばかりだった松井のあどけない顔が思い浮かぶ。
2011年の夏、桐光学園は神奈川大会の準々決勝で1年生のサウスポーを先発させた。それが松井だった。小学生のときにベイスターズジュニアに選ばれ、中学時代は青葉緑東シニアで全国制覇を成し遂げたスーパー1年生。背番号10の松井が先発して試合を作り、その後を3年生のエースに託す。このリレーで勝ち上がった桐光学園は、決勝の横浜戦でも松井を先発させた。試合は延長の末に敗れたものの、5回途中までを被安打2、無失点に抑えた15歳のピッチングは際立っていた。強打の横浜打線がことごとくポップフライを打ち上げていたからだ。松井は翌年、2年生エースとして夏の甲子園に出場、1試合で22個の三振を奪って大会記録を塗り替える。