松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
パラバドミントンの新星・里見紗李奈。
東京2020で伝えたいメッセージとは?
posted2020/06/14 11:00
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph by
Nanae Suzuki
里見紗李奈選手は、女子の車いすバドミントンの先駆者である山崎悠麻選手(WH2クラス)とダブルスを組み、東京パラリンピックで金メダル獲得を狙っている。
山崎選手は健常のバドミントンでもジュニア時代、腕を磨いた実力者だ。そんな大先輩から学ぶことが多い里見選手は2019年5月、山崎選手とともに世界ランキング1位に君臨した。
相手を見て研究するのが得意。
松岡「短期間で世界のトップに立てるわけですから、紗李奈さんには間違いなくバドミントンの才能があったんでしょうね。ご自身は自分に何があったと思いますか?」
里見「えー、何があるんですかね? むずい」
松岡「そう、むずいんです。例えば僕のテニスだったら、自分にはサービスという武器がありましたとなるわけですが」
里見「相手をよく見るとか、研究するとかじゃないかな。この選手はこういう戦い方をするから、自分はこう対応しようって考えるのが好きです。例えば日本選手権で初めて1位の選手に勝ったときは、その選手が後ろから前の動きがすごく速くて、私がドロップショットを落としても、それに追いついて深いロブを返してきました。私、そのロブがすごく嫌で。せっかくの攻撃がリセットされてしまうんですよね」
松岡「そのときどうしたんですか?」
里見「私は自分の得意なクリアショットで相手をコートの奥に追いやり、相手が苦しくなって諦めてドロップを打つのを粘り強く待ったんです」
松岡「そのドロップを、さぁ、どうする!?」
里見「私もヘアピンで返すんです。そのとき相手はコートの奥にいて、攻めている私は前で張っているので、相手がいくら後ろから前の動きが速いといったって、コートの奥からじゃ追い付けないんじゃないかなって。自分の頭の中で想像して、それを徹底的にやったら勝つことができました。そうやって相手を見て攻略法を見つけます」
松岡「それがアスリートですよ。そうやって戦術を探れる力を持っていたということですね。僕も相手の性格を読むのがめちゃめちゃ上手いし、相手が嫌がることをやるのが超得意だったの」
里見「性格悪くないと、できないですよね」
松岡「そう、僕、めちゃくちゃ性格悪いですよ」
里見「だから強くなったんですね(笑)」