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パラバドミントンの新星・里見紗李奈。
東京2020で伝えたいメッセージとは? 

text by

松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

PROFILE

photograph byNanae Suzuki

posted2020/06/14 11:00

パラバドミントンの新星・里見紗李奈。東京2020で伝えたいメッセージとは?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

里見選手がスポーツを通じて伝えたいメッセージは、松岡さんの思いと同じものでした……。

憧れのトップ選手に大勝して世界女王に。

松岡「去年の夏にはまた、大きな勝利を挙げたそうですね」

里見「2019年8月、スイスで開かれた世界選手権に出場して、シングルスで初優勝できました。決勝では元世界女王のスジラット・ポッカム選手(タイ)と戦って勝ちました。スジラット選手とは過去2回対戦していて、全く歯が立たなくて、『マジ強すぎ。ホント無理』と思ってたんです。本当に神様みたいな人で、私にとって憧れの存在でした。そのスジラット選手が去年、肩を痛めてずっと大会に出場していなかったので、私も試合をする機会がなかったんですが、世界選手権に出場すると聞いて、絶対に戦いたいと思ったんです」

松岡「勝算はあったんですか?」

里見「勝つのは無理かもしれないけど、自分がどれくらい成長したかを知りたいと思いました」

松岡「負けるのは分かっているけど、前よりも点数は取れるかもしれないみたいな?」

里見「そう。私も頑張ってきたし、どれくらいできるのか。ドローでは決勝までスジラット選手と当たらない組み合わせだったので、何が何でも決勝まで行くぞって、気合いが入りました。それで決勝で当たることになりました」

松岡「やった! 当たった、当たった!」

里見「ウケる?(笑)」

松岡「だって、ワクワクするじゃないですか。それでそれで?」

里見「決勝まで勝ち上がったので、スジラット選手にも勝つ気でいました。でも、力は入っていなくて、対等に打ててる感覚があって、ポイントも取れました。『あれ? なんでだろ? 私、強くなったのかな? あわよくば勝てるのかな?』みたいな」

松岡「僕にも似た経験があります。頑張って練習をしていたら、知らないうちに格上の選手と試合で対等に戦えているぞという。僕の話はどうでもいいんですけど、結果はどうなったんですか?」

里見「ゲームカウント2-0でストレート勝ちでした」

松岡「すごい!」

「ある心境になりませんでした?」

松岡「やばい、勝っちゃいけないって思いませんでした?」

里見「それ、思いましたね。本当に憧れの選手だったので、目標がなくなっちゃうって思いました。スジラット選手に追いつきたい一心で頑張っていたので。でも、やっぱり勝ちたいっていう気持ちが上回りました」

松岡「勝ちそうになったとき、もう1つ、ある心境になりませんでした?」

里見「どんなですか?」

【次ページ】 勝ちビビりなしの“紗李奈ゾーン”。

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