課題はバック前ショットへの対応。

松岡「選手の体の状態がわかると、半面といえどもコートが広く感じますね」

山崎「（ラリーを続けながら）もうひとつ、これを見てください」

里見「（ショットに動けず）あー！」

山崎「背筋を使えないと、あそこのコースが弱いんですよ」

松岡「一歩も動けない感じでしたね。見ているだけだと『取りに行ける！』って思うけど、背筋が使えない選手にとってあのコースは、予測ができていないと無理ですね」

山崎「このショットは弱点になります。最近はだいぶ拾えるようになってきましたけど、まだ課題で練習中です。ただ、車いすバドミントンを始めてまだ3年ぐらいなので、予測に関しては鍛える余地があると考えています」

松岡「まだまだ伸びしろがあるということですね」

松岡「感覚があまりアスリートっぽくないですよね」

　松岡さんのパラバドミントン体験と里見選手、山崎コーチによるデモンストレーションが終わり、松岡さんと里見選手は対談へ。

松岡「僕は今までいろいろなアスリートにお会いしていますが、紗李奈さんは感覚があまりアスリートっぽくないですよね。アスリートというと、どんなイメージがありますか？」

里見「めっちゃストイックなイメージ」

松岡「紗李奈さんはストイック？」

里見「うーん、どこからがストイックと言うのかな？　でも、アスリートは食事とか、めちゃめちゃ気をつけているイメージです。私も最近は気にするようになりました。国際大会に行って食べた食事の画像を栄養士さんに送ると、『◯◯が足りないから取ろう』などアドバイスをくれるので、それをもとに自分で考えながら食べるようになりました。行く国や地域によっては現地の物が食べられないこともあるので、日本食を持っていこうとかも考えられるようになりました」

松岡「なぜ、食事に気をつけようと思ったんですか？」

里見「試合中にお腹が空かないように。試合の何時間前におにぎりを食べるとか、30分前にはこれを食べるといいとか」

松岡「あの、ちょっといいですか。アスリートと言えば、普通、おにぎりもそうだし、バナナを食べるとか、いろいろありますよね？」

里見「競技歴が浅いし、試合経験も本当に少なかったので、補食のタイミングとか試合の入り方とか、最初は全部手探りだったんですよね。試合数を重ねながら経験値を上げてきた感じです。特に去年は東京パラリンピックに出場するためのポイントレースがあって、すごく試合が多かったので、経験を積む機会がたくさんありました」

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