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日本人初のマイナーリーグ監督、
三好貴士が高校生に伝えたかったこと。
text by
上原伸一Shinichi Uehara
photograph byTakashi Miyoshi
posted2020/05/23 20:00
2月に招待されたスプリングトレーニングで出会ったトニー・オリーバ(左)とロッド・カルー。
大事なのは“グリット”と“マインドセット”。
講演会の終わりに、三好は定時制の生徒たちにこう言った。
「11年間アメリカでやってきて思うのは、人がもともと持っている力にはそんなに差がない、ということです。では、何が差になるかというと、それは“グリット”と“マインドセット”。グリットは止まらないでやり続ける力で、マインドセットは意識づけです」
グリットを体現してきた三好が、マインドセットの大切さを知ったのは2014年。4球団目になるグランドプレーリー・エアホッグスに在籍していた時だ。三好はある試合で3塁コーチを任された。このリーグで日本人が3塁コーチを任されたのは初めて。日本ではほとんど報道されなかったが、世界の野球からすると画期的なことだった。
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「この時からですね。初の日本人監督にならなければ、と思ったのは。監督になる、と公言するようにもなりました」
果たしてこの翌年、三好はソノマ・ストンパーズで、シーズン途中から監督になる。次の16年シーズンには前期・後期優勝の完全優勝に導き、16、17年と2年連続で最優秀監督賞を受賞した。この実績がMLB球団との契約を勝ち取る上で、大きな武器になったのは間違いない。
有言実行することで自らをプロモートしてきた三好は、さらなるステージを目指している。
「メジャーの監督になって1000勝することです。そう言うと周りからは笑われますけどね。ハハハ」
前人未到の山に登る挑戦。その第2章が始まった。